第一志望の大学に行けなかった僕に言ったその先生の言葉が、その後の僕の大学生活を大きく変えました。
職員室に入るや否や、先生は大きな声で僕を呼びつけ、こう聞きました。
「お前、浪人するよな?」
僕は怯えながら、ただ堂々と答えました
「いえ…、慶應に行きます。」
確かに東大は第一志望だったけど、個人的には慶應の方が魅力を感じていましたし、その選択は家族や他の先生みんなが賛成してくれるものだったので、その選択が正しいと思っていました。
すると先生は怖い顔をして、こう言いました。
「いいか、長い人生で見たら浪人の1年なんて屁みたいなもんだ。1年遅れたところで大したことはない。
もう1年勉強して東大に行け、お前は東大に行くべきだ」
呆気にとられたような顔で立ち尽くす僕を見て、周りの先生が
「いや、慶應も素晴らしい大学ですし、入学金とかも払っちゃったもんねぇ」
とフォローをしてくれました。
しかし、先生はすぐさまこう言い放ちました。
「金のことなら俺がなんとかする。入学金は俺が払うし、浪人の一年間、家にいずらいなら俺の家で面倒を見てやる。だから浪人しろ。もう一度勝負をしろ。
お前はこんなところで終わる奴じゃない。」
沈黙する職員室。
僕は一言「すみません」と言って、その場を立ち去るのが精一杯でした。
あれから2年が経ち、もうすぐ公認会計士の論文式試験を受けます。
会計士の勉強を始めた理由はたくさんあるけど、先生の「こんなところで終わる奴じゃない」という言葉もそのきっかけの一つだったような気がします。
「もう一度勝負をしよう」あの時からずっと自分の中の闘志に火がついていました。
今はとにかく今度の論文式試験に受かって、先生に「あの時はありがとうございました」とお礼を言いたい。
そのためにも残りの2カ月弱を思いっきり駆け抜けようと思います。