何時かは憧れのライフル銃。
0.気分はスナイパー?
300mの直径10cmに命中させる、こんな事が出来るはライフル銃以外にありません。
ライフル銃は10g強の弾頭を800m/s程度の速度で撃ち出し、体重100kg以上のエゾ鹿を始め300kgのヒグマから1トン程度のバッファローまで殆どの野性動物と勝負出来ます。
北海道のエゾ鹿は絶好の勝負相手であり、世界でも類稀なほどの生息密度です。
北海道までの航空券もLCCのお陰で片道5000円前後、レンタカーも狩猟期間は観光的にはシーズンオフとなり3000円/日で借りられます。
飛行機1.5時間で北海道、更に車1.5時間で猟場ですから隣県まで遠征するのとそれほど違わない程度の時間と費用でエゾ鹿の大物と勝負出来ます。
朝1番の猟には間に合いませんが、夕方の猟をしてからでも東京なら帰れます。
つまり日帰り猟ですら不可能ではないのです。
日本は世界でも稀な素晴らしい狩猟天国と言えます。
1.ライフル銃。
弾の威力的には500mの鹿を倒す能力がありますが、実用的な最大射程は300m前後です。
私の使っている308Winのエネルギーは弾頭の種類にあまり関係なく100mで12mmの鉄板を貫通し、狩猟用の銅弾の場合で野性動物の体を約50cm以上貫通しますからアフリカのクドゥやアラスカのムース等かなり大型の動物に対しても十分使えます。
2000年以降のボルトアクション銃ならどこのメーカーの銃でも相性の良い市販弾と組み合わせれば100mでもワンホール崩れのグルーピング15mm位が出せる様になりました。
ハンティングに使用する場合はこの精度で十分です。
後述のサボットスラグ銃が落差補正しても150mが限界である事を考えますとライフル銃は100~150mをピンポイントで正確に狙え200mまで落差無視で撃てると言う素晴らしい能力を持っています。
極限まで上手くなりますと500m遠射や200mの走っている鹿にも当てる事が出来ますが、多くの中程度のライフルハンターの腕前はやや興醒めしますが次の様になります。
50m:多分命中します。
100m:多分当たりますがやや怪しげになります。
150m:怪しげ度が更に増し失中度が高くなります。
200m:当たらない可能性の方がかなり高くなります。
それ以遠:まず当たらず、マグレも殆んど期待出来ません。
ライフルとサボットスラグはパワーで1.5倍、精度と距離に於いて2倍程の差がありますが、Stdとマグナムのライフルの差はパワー1.4倍程、距離1.2倍程で捕獲出来る出来ないで言えば期待外れかと思いますが誤差範囲になります。
2.サボットスラグ銃。
サボットスラグ銃と弾はアメリカの猟区に於いて野性動物側にハンデ(ライフル銃の長射程を封じる)を与える目的でショットガンオンリー猟区が設定され、これに答える為に2000年頃に完成した物でアメリカではフルライフルのスラグバレルです。
日本ではこのライフリングの前半分強を削り落しハーフライフルのスラグ専用ショットガンになり、落差補正無しで100mまで撃て50mm程度に収まりますから十分な実用精度を持っております。弾は空気抵抗が大きく落差を補正しても限界は150m程度です。
銃の精度は50m (多くの射撃場が50m) で15mm程度ですが、初心者が撃つと最初は50cmの紙に入るがやっとですが間もなく300mm程度に収まります。
しかしこの射撃精度からですと捕獲出来る可能性は20m以下のメデタイ鹿に限られます。
数年後、50mで50mm位の中程度サボットスラグハンターが撃つと下記の様になります。
50m:多分当たりますが多少怪しげです。
100m:怪しげ度が更に増し失中度がかなり高くなります。
150m:多分当たりません。
それ以遠:マグレも期待出来ません。
上記データは距離を半分にするとノーマルスラグ銃用になりますが、結論としてスラグ銃は実戦で役に立ちません。50m以遠を諦めて近距離射撃を外さない「バックショット+フルチョーク」がお奨めです。(40m以下で相当な確率の命中が期待出来ます。)
銃の性能を発揮出来る様になれば(3~5年を要します) 100m以内に於いて精度上の問題は全く無くなり、150mでも十分な実用性を持ちますからノーマルスラグの80mやバックショットの40mとは比較にならない魅力があります。
ライフル銃取得まで10年を必要とする事を考えますとこのサボットスラグ銃のお陰でエゾ鹿猟が初心者にもある程度は楽しめる様になったと言えます。
このサボットスラグ銃は「ライフル銃」でも「散弾銃」でもなく「その他の銃」と言うジャンルに分類されますが、手続きが少々面倒ですが6~12ヶ月の間に各種申請や講習及び試験に合格すれば20歳以上なら誰でも所持出来ます。
ただ「ライフル銃」と「その他の銃」の場合は所持目的が「狩猟」に限定されますので狩猟免許(銃とは別の資格で講習や試験が必要です)がなければ所持出来ませんし、その後も所持を継続するには狩猟の参加が不可欠になります。
ここで得られた射撃技術は狩猟技術と実績(ライフル銃取得には装薬銃10年の経験と数年以上の大物猟実績が必要)も含めてそのままライフル銃に続ながりますからぜひサボットスラグ銃でエゾ鹿に挑戦し腕を磨き憧れのライフル銃に続なげて下さい。