樹と木と気
私は、生きている樹そのものも大好きですが、
何かの事情で、木材となったものも好きです。
材木店なども、一度ゆっくり訪れてこれから家の一部となる
材木をじっくり眺めたい気持ちになります。
古材も好きで、たまに家を壊している場面に出会うと
次々と壊されていく家の一部として取りだされていく柱や梁をできることなら、
もらってきて家に置きたい衝動にかられます。
今はこうした古材が人気で、新しい家の一部として使用する方も
増えてきたようですね。
カンナをかければ、新しい木肌が現れるでしょうし、
そのままの黒光りした材木も また魅力的です。
カンナで削られた薄い紙のようになった木も
その香りとともに 心惹かれます。
特にヒノキや杉の木には、独特の香りがあって、
部屋の中にあるだけで、森林浴のような効果を生みますね。
そんな訳で、私の家には、木の断片がいくつかあります。
一番のお気に入りは、屋久杉です。
いつだったか地方に旅行した時に屋久杉のお店があって、
思わず立ち寄ってしまいました。
天然記念物なので、手に入らないそうで、
枯れて土の中に埋没していたものらしいです。
でもそもそも本当の屋久杉かどうかも
わからないのですが、いいにおいなので
気にいってしまいました。
大きいものはお高いので無理ですから、
小さいものをおまけしてもらって、家に持って帰りました。
今は親戚の別荘に置かせてもらって、
テーブルの上に置いています。
何とも言えない芳香を放ちうっとりしてしまいます。
そのほかにも、まだ樹の皮が少しついた状態の
長い杉の木などもあります。これは引出しつきの木製の小物入れを
左右に二つ並べて足代わりにして、
勉強机がわりにもしています。
それから、吉野に行った時に買った小さな吉野杉の板を、
陶製の火鉢の上において、カフェテーブル代わりに使ったりもしています。
こう並べて書いてみると、本当に私は木が好きなんだなあ
としみじみ思ってしまいました。
切ってしまった柳の木も、植木屋さんの言うことをきかずに
こうやって家の中で使ってあげればよかったと今にして思います。
さて 私はそうした樹から作られた木製品もとても好きです。
この写真のバターナイフは、今の私のお気に入りの品です。
地方の小さなお店でみつけて、触った時の木肌のなめらかさが、
妙に心を落ち着けてくれたのでお土産に買いました。
焼きたてのトーストにバターを塗るたびにあの時の気持ちが甦ります。
他のものも買ってくればよかったと今になって思います。
このように考えてみますと植物、特に樹は、生きている間も切られてからも、
私たちに優しく役立ってくれているのですね。
鉄筋コンクリートの家も もてはやされていて、便利だから私も住みたいと
思ったりもしますがでも、できるだけ木の家に住み続けたいと思います。
今の家も大事にすれば少なくとも60年は持つと
建ててくれた大工の棟梁さんが語っていました。
まだ若かったので、自分の60年後なんて思いもかけませんでしたが、
またそんなに長生きできるとも思いませんでしたが、
今は、できればそのくらい生きたいと思うようになりました。
小さな家ですが、一応,建築家とインテリアコーディネーターが
設計を担当してくれた ちょっと変わった家です。
細部に こだわりがあって、ひそひそと樹の声が
聞こえてくるような気がする時があります。
でも、もっと広いベランダを作ってほしかったなあというのが、私の今の願いです。
すいません、デザインを壊してしまうのですね、広いベランダなんか作ると。。。


