△石版画 四季の美人 東京十二月之内 三月(向島 春景)

 

この石版画は、明治34年に大阪市西区新町通4丁目7番地にあった版元・清水常蔵が発行したもので、「東京名所 四季の美人 十二葉」という12枚組の「明治名所石版画」です。

明治名所石版画」では十二枚組みセットが多く刷られていますが、これは月次絵(つきなみえ)と言われる形式であり、1年12ヶ月の行事や風俗、自然の風景などを1ヶ月毎、順に描いたシリーズものです。


今回ご紹介する3月を表す石版画は、「東京十二月之内 三月(向島春景)」です。

△隅田川の桜

 

向島」とは、繁華街の浅草から見て、「隅田川」の向こう側にある地であることからこう呼ばれました。江戸期より、向島は江戸時代から花街として栄え、料亭・置屋・和菓子店が多く軒を連ね、社寺など江戸庶民の遊覧場所でした。

とくに、三月末から四月にかけて、隅田川沿いに咲く桜並木は見ごたえがありました。隅田川の桜は、1650年代に四代将軍・徳川家綱が常陸国桜川村から桜の苗木を移植したことが始まりとされています。さらに、1717年(享保二年)には八代将軍・徳川吉宗が、墨堤に桜を百本植え、その後も桜や柳、桃を追加で植樹しました。この植樹の目的は、庶民のための憩いの場を作ることと、花見客の往来を促進することだそうです。なんかテレビでは、多くの人に堤の上を踏んでもらって、堤の土を踏み固めることのようにも言っていました。毎年多くの花見客が訪れ、1854年(安政元年)までに、地域の協力を得て七百本の桜が植えられ、東京の「桜の名所」となりました。

△東京スカイツリーと桜

 

さて、石版画に描かれているのは少女のようです。髪型は「マガレイト編み」でいいでしょうか(よくわかりませんが‥)。三月ひな祭りなので、手には雛人形を持っています。春らしい構図となっています。

 

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