少し街に出た。
人の出は、想定内で、心乱れず、なんとか平静を装えた。
本屋へ行き、仕事にためのネタを、しこたま頭に詰めた。
その後、カフで会社のHPのSEO対策。
まだ、行きつ戻りつではあるが、半年前よりは、随分病状が安定したのを感じる。
以前は、一人で街中を歩けなかった。
ひたすら疲れたし、なにより、人の視線が怖かった。
自分がどのような表情で、歩幅で、姿勢で歩くのが適切か分からず。
ときに体の痺れを感じ。
それだから、始終俯いて、誰の目にも触れないように、気付かれないように全神経を注いでいた。
あの頃、一人で出歩くのは大変なことだった。
きっと、自意識が高すぎたんだろう。
今は、でも少しマシに思う。
「誰も私のことなど、気にも留めない」
そう、考えながら歩いている。
…でも、それは「気に留められたい」という幼稚な欲望の裏返しに過ぎないのかもしれない。