|
関西の良家の夫人が告白する、異常な同性愛体験――関西の女性の艶やかな声音に魅かれて、著者が新境地をひらいた記念碑的作品。
この小説は始めから終わりまで、関西の女性である柿内未亡人がその異常なる経験を作者に打ち明けるという、告白の形式をとっています。終始関西弁(当時でいう上方言葉)で綴られているのは、真新しいというか、谷崎としてもかなりこの文体に重点を置いた実験的小説だったのではないでしょうか。読み進めながら、破滅へと誘われるような、ゾクゾクする感じが堪りません。ラスト数ページが特に面白く読めました。『痴人の愛』に通ずる谷崎の女性崇拝がこれでもかというくらい表れています。谷崎にしか描けない代物。
