田舎の天井 | 毎日イタリアンとみおか食堂LITAのブログ

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リタのアメブロだZ( -∀・)

田舎の天井の記憶がある。

正しくは、正確に言うと、父親の実家がある福井の家で朝起きた時に見る天井のことだ。
おそらくは、いや、もう二度とその天井を見ることはないだろう。

幼い頃から父親に対しては苦手意識を通り越した相容れない感情があったのだが、田舎の福井に行くことは嫌いではなかった。

大人になってから自分一人で行っていたこともある。

昔から義理堅い性格なのだ。

新幹線で米原まで行って、米原から在来線に乗り換えて敦賀、鯖江を越えて福井駅に到着すると、祖母や叔母が駅まで迎えに来てくれた。

福井の駅前の風景や田舎の町の空気というのは、未だに記憶として残っている。

何故か分からないが父親は大概その場には居らず、いつも母親と姉と三人で福井に向かっていた。


たぶんまだ小学生の頃だったと思うが、自分一人か姉と一緒だったかは定かでないが、子供だけで福井駅を降りたことがあり、祖母と駅前の今で言うところのフードコートのような場所でエビピラフを食べたことがあった。

祖母は「ここのエビピラフが美味しいんや」と言っていた。
自分は初めてエビピラフを食べたんだと思う。

おそらくは出来合いのエビピラフを温めただけのものだったと思うが、白いごはんともチャーハンとも違うどこか洋風な味わいと、祖母の美味しいという言葉にすっかり騙されていた。

自分の母は、当時は貧しさもあったと思うが、冷凍食品や味の素を使ったものを食卓に並べたがらなかったので、そういった食べ物の味に免疫がなかった。
福井といえばソースカツ丼やおろし蕎麦だが、大人を越えて初老になった今でも、あの時食べたエビピラフの味と食堂の風景はおぼろげに憶えている。

いつどこで道を間違えて、何がどうなってこの場所に辿り着いたのかは見当も付かない。
真っ直ぐに見えていたはずの道が実は曲がり角になっていて、気付いたら振り出しに戻っている。
そんなことをずっと繰り返していたら、自分が疲れてしまっていた。

正しいと思っていたことがもし間違っていたとしたら、どの位前ならやり直しがきくのだろう。

今まで過去に戻りたいと思ったことなんてなかったけど、あながちそんなこともなかったのかもしれない。

田舎の天井を思い出した。