イギリスのコロナ患者の数、なかなか減りませんね。。。

死者も相変わらず300人越え。

 

ヨーロッパでもそんな国もうないって感じなのに。

 

でも先日、うちの斜め前に住んでる80歳のパディーがコロナに感染した話を聞いて、なんとなく納得するものがありました。

というのも、パディーはガンの闘病中で、化学療法のために病院に行って、そこでコロナを拾ってきた。

もちろん、化学療法の間は免疫を抑えてるわけだから、ひとたまりもありませんよね。

先日、救急車から防護服を着た人たちが降りてきて、パディーはまた同じ病院の今度はコロナ病棟に運ばれていったわけですが、それを聞いて私は切なくてたまりませんでした。

 

ガンで今まで治療を切り抜けて頑張ってきたのに。

コロナで死ぬときって、家族はそばにいられない。

火葬も家族は参列できない。

そんな寂しい死に方をするために、今まで苦しい治療を受けてきたわけじゃないでしょうに。

可哀想すぎる、家族もパディーも。

治って帰ってきてほしいけど、今危篤で、望みはないんじゃないかとご近所さんたちは首を振ります。。

 

これって日本で言ったらいわゆる医療過誤?

いや、、むしろ医療システム側の仕組みが悪いんじゃないかと思えてならない。

化学療法はコロナ病棟が存在する病院では行わないとか、そういう方法があったのではないかと思うのに。

 

病院の数も圧倒的に足りないと思う。

チェスターで病院に入るとなったら、選択肢が1つしかない。

いい病院だとか色々評判はあっても、そこで流行性のウイルス感染があるとしたら、同じ建物の中に免疫抑制の治療を行ってる人は入れない方がいいに決まってる。

でも、選択肢がなかったんだろうな。

 

ドイツとかと比べると、そういう点でも医療の底力の差が大きく出たんじゃないかと思えてならない。

 

そして友達が、リバプールエコーのこんな記事をシェアしていました。(英文)

内容をざっくりとかいつまむと、イギリスでは老人ホームから病院に患者が入院してくると、とにかくちょっと良くなったら老人ホームに返せ返せ、そしてベッドを開けろ、という方針なんです。今に始まったことではなく、イギリスではなかなか入院させてくれず、少しでも良くなったら追い出されるというのは有名な話。

 

そのため、コロナじゃない病気で入院していた患者は、コロナが原因じゃないからという理由で、コロナのテストを一切せずにホームに返していました。

でもそれって、本人に症状が出ていなくてもコロナに感染してる可能性もあったわけですよね?

(老人ホームのケアマネージャーたちは行政からかなりのプレッシャーを受けていて、患者をホームに受け入れるのを拒否したらクビ、とかっていう処置を受ける場合もあったようです。だから、受け入れざるを得なかった)

 

そのため、老人ホームでは、コロナの爆発的な感染が始まり、いまだに収まっていないようなのです。

恐ろしい話です。。。

 

NHSに拍手したり、ボリスがリーダーシップをアピールしたりしているその陰で、こんな政策がとられていて、老人たちを犠牲にするかのような処置がされていること、みんなは知ってるんでしょうか。

 

どの国でもそうだったと思うけど、医療システムがいっぱいになれば、誰を救って誰をあきらめるかといったことも考えなくてはいけない。それをトリアージともいうのかもしれませんが。。。イギリスではこういう形で、病院ではなく老人ホームにこっそりとしわ寄せがいっていたのではないかと。そんな風に疑っています。

 

Stay homeとかいって、まるでみんなの命を救うのがミッションだっていうアピールをしておきながら、この仕打ちかあ。。。と、私は本当にやるせない気持ちがします。

イギリス政府、アピールは上手だけど、どうなんだろな、本当のところは。

私たち一般市民の命なんて、屁とも思ってないんだろうな。

 

すんません。また暗い話題だったわ。

 

ロックダウンは緩和されてきていて、なんとなく、危険は去ったかのような錯覚があるけれど、まだまだ、今この瞬間にも命が助かるか失うかっていう人たちがたくさんいるってこと、忘れちゃいけないかなって気がしてます。

 

追記:

コメントをいただいて気づいたのですが、私、NHSのスタッフに対して批判してるわけじゃないんです。

現場のお医者さんや看護師さんは本当によくやっていると思います。

特にイギリス政府は当初、PPEですら「十分足りている」とかっていう判断で、現場に十分行き渡っていなかった。その中で、命をかけてお仕事してくださるお医者さんや看護師さん、本当に頭が下がります。

日本人のスタッフの方もいらっしゃるでしょう。

 

問題は、NHSに普段からどれだけお金をかけ、どんな運営をするよう指示しているかという、行政側、政府としての方針なんじゃないかと思うんです。

イギリスはこんな時でなくても、MRIやCTスキャンがとって欲しくても、血液検査がして欲しくても、何らかの重大な問題がなければ門前払いです。「予防医療」みたいな考えはゼロに近い。

その医療のシステムが、人々の心理にもすごく反映されていて、自分は何もしなくても健康には問題がないと固く信じてる人がたくさんいるし、痛みがなければ自分には問題がないと思ってる人がほとんど。

本当は痛みは症状であって、問題そのものではないんだけどね。

 

日本とイギリス、人々の考え方もすごく違うな〜って思います。