生ける伝説 | Slow Hunger

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ゴスペラーズを中心に、いろいろと

サム・ムーアのライブから三夜が明けたわけですが、

いまだにソロアルバムもサム&デイヴのベスト盤も聴けません。

わたしの頭の中では、ライブでの生音が最新版として上書きされているので、

CDを聞くことで生音の記憶が消えやしないかと…。

いつかは聴くことになるんでしょうが、もうちょっと先かなと。


BNでの日程が終了したので、ライブの感想を追加。

バンド編成や曲目は【BNのページ 】をご参照くださいな。

(吉岡さんの日記にも記事があります。会場でお見かけしました。)

観客の年齢層は40代が中心だったかなぁ。男性が多かったように思います。

ライブ中に熱狂的な声援を送るのも男性が中心でした。

ざーっと見回した感じだと、わたしが最年少だったのかも。ひー。


アタマの2曲はバンドのインストゥルメンタル。サムは3曲目途中からの登場でした。

衣装はカーキ色(違うかな?)のスーツだったんですが、衿が台衿(マオカラー)。

日本公演だからでしょうか。恰幅も貫禄もたっぷりと。

衿元がきつかったらしく、『Soul Sister,~』あたりでボタンを外していました。

インナーは白のTシャツで、胸の真ん中に筆文字で「夢」のロゴ!

夢の来日公演、夢のようなひととき…ぴったりの字に観客一同拍手喝采。

甲高い声も裏声も、低音もし~っかり出ていました。


その『Soul Sister,~』は、夏のSOUL POWERで

エナメル・ブラザーズが歌っていたサム&デイヴの曲です。

サム&デイヴという形ではないにしろ、「原曲」を聴いているという

ものすごい出来事が自分に起こっていることに気づき、しばし呆然。


アップテンポの曲では、ボーカルのちょっとした隙間でリズムに乗ってステップを踏んだり、

身をひねったり、眉を小刻みに動かしてみたり。お茶目でショウマンシップに溢れたおやじさんです。


バラードの『Rainy Night In Georgia』、『When Something's Wrong With My Baby』では、

年月を重ねたソウルマンの声の深みってやつを充分に吸い込みました。

71年生きないと到達できないところは、必ずあるのでしょう。

そんな理屈はぬきに、目の前にサム・ムーアがいるという事実に

相変わらず感動しっぱなしでもあるんですが。


新譜からの『Blame It On The Rain』では、最前テーブルにいた男性客にマイクを向けて

サビを歌わせていました。自分でも歌を歌っている方だったのか、お上手でした。

『Tell Mama』と『Crazy』はコーラスの女性が一人ずつ歌うかたちで。


『Soul Man』、『Dance To The Music』では会場大盛り上がり。スタンダップです。

あの『Soul Man』ですもん、あの、あ・の!(しつこい)

『Dance~』の途中だったか、妻兼マネージャーの女性が白いガウンを持って舞台に。

サムに着せると、「もう終わり」「もう帰る」というようなことを口にするサム。

ガウンの左胸には某ホテルのロゴが白っぽい糸で刺繍されていました。

あぁ、そこにお泊まりなのねと思うと同時に、そんなところまで見える距離に

自分がいるという事実にまた感動。


が、観客の熱気に押され、再び曲は盛り上がる。

コール&レスポンスを繰り返し、なっかなか終わらない『Dance~』。

サムの額には汗。顔も紅潮しているようでした。おやっさん、すごいよ…。


締めは、ビリー・プレストン最後のレコーディングとなった『You Are So Beautiful』。

繰り返される「♪You are~」のフレーズを聞いていて思いました。

いまこの瞬間、いっちばんbeautifulなのはサム自身だなと。

ビリーを想ってか、サムの目には涙が浮かんでいました。

それを見て余計に歌が染みて、わたしも涙。


ボーカルのパートを歌いきると、抑えていたバンドの音が再び盛り上がる。

そして最後はサムがその演奏を締めるんですが、

後ろ(バンドの方)を向いて、両手をゆっくり上げてから、右斜めを向いて腕を引いて締める。

その一連の動きが、その背中が死ぬほどかっこよかった…。


退場のときはゆっくり歩き、観客とたくさん握手をしていたようでした。

ショウの時間は約1時間40分。大満足の大感動でございました。


大満足の大感動なんですけど、魂が抜けてしまっていました。

自分がサム・ムーアの生の歌声を聴いたことが、信じ切れなかったんでしょうね。

「わたしが観たものは、何だったんだろう」とふわふわした気分で、

晩秋の表参道を原宿まで歩いてゆきました。


* * *


最終日である今日のライブに、ゴスのメンバー(と忌野清志郎!?)が飛び入りして

何曲か歌ったという話を小耳に挟みました。

やっぱり来たかー!そりゃ、共演は観てみたかった。

でも客席にゴスメンバーがいたら気になってしまったかもしれないし、

わたしはサムの歌声で満足度メーターが振り切れるところまでいけたので、

何の悔いもありゃしませんよ。メンバー、嬉しかっただろうなぁ。


長生きして、後輩シンガーに背中を見せつけてほしいと願っています。

そして欲を言えば、再び日本でライブを見せてほしい。

本当にありがとう、生ける伝説、サム・ムーア。