高出力車両のエンジンオイル消費量
BMW E92 M3などで使用される10W-60のような高粘度エンジンオイルも、消費量がかなり多いと言われています。蒸発量で見ると、10W-60のような高粘度オイルは消費量がほとんどないはずですが、一部の高出力・高回転数車両では、エンジンオイルの消費量が少なくないようです。1.エンジンの摩擦損失エンジンが4,000rpmで摩擦抵抗を受ける部位を見てみると、ピストンとシリンダーの摩擦損失が約7%を占めており、摩擦部位の中では最も大きな割合を占めています。最も大きな摩擦抵抗を受ける理由は、上図のようにピストンがシリンダー壁面に密着した状態で往復運動をするためです。また、ピストンリングの数もトップリング、セカンドリング、オイルリングの3つのリングを持つ構造であるためです。2.ピストンの摩擦損失低減このようなピストンの摩擦を減らすための方法はいくつかありますが、大きく以下の2つに分かれます。第一は、ピストンリングのテンションを小さくして(ローテンション)、シリンダーとの摩擦を減らす方法です。上記の図のように、ピストンリングの隙間(ギャップ)を小さくすると、リングの全体直径が小さくなり(数ミクロン程度)、シリンダー壁面との摩擦を減らすことができます。ピストンリングのテンションを減らすことも、爆発ガスの漏れによる出力低下をカバーできる範囲で最大限に減らすことです。自動車メーカーは、ギャップを減らすことで発生する摩擦低減効果と、爆発ガスの漏れによる出力低下を比較し、出力向上が得られる最適なポイントを見つけます。2番目は、上記のようにピストンリングに摩擦を減らすための固体潤滑剤コーティングを施し、シリンダー壁面とピストンリングの隙間には変化を与えずに、摩擦係数を低下させる方法です。3.エンジンオイルの消費上記で述べた中で、最初の方法は、結局シリンダー壁面とピストンリングの隙間を大きくして金属間の摩擦を減らすことと理解すればよいです。その結果、下図のように隙間によるオイルの蒸発量が相対的に増加することになります。次に考慮すべき点は、ブローバイガスです。ピストンの隙間が大きくなると、ピストンリングを通過するブローバイガスの量も増加し、その結果クランクケース内部の圧力も上昇します。クランクケース内部の圧力が上昇すると、圧力を抜かなければならず、PCVバルブを通じて吸気管へ戻す量も増加するため、オイルの消費量が多くなります。各種ガスケットやシール部位、バルブステムシールのオイル漏れが発生していないのにオイルを消費するのは、このような理由と言えます。オイルが外部に漏れ出していない場合、行き先は限られています。