彼に特別な感情など一切なく、順調に仕事が終わろうとしていたその頃、私は知人からある相談を持ちかけられた。
彼女は、ある業者に騙され厄介な事に巻き込まれていた。
その騙され方には身覚えがあった。
母や兄のようなエゴに振り回されやすい人
つまり物事の表面だけを見て判断し、自分の思考を観るという作業をしない人が陥りやすい罠だった。
彼女に彼を紹介してから彼のエネルギーがギドギドしいものに変わっていった。
彼はこの案件を片付けたくてうずうずしていた。
彼の心の闇が刺激され
次第に闇に飲まれていく
何かおかしい
安っぽい芝居を見ている感じがして違和感を覚えた。
騙す人がいて騙される人がいる。そこに解決する人が加わったが、彼らから発せられるエネルギーはどれも似たり寄ったりに思えた。
見えない所で闇が操りエネルギーを吸われている事には誰も気付かない。
そしてその闇は、遂に私の所までやってきた。
徐々に心に風が吹き始め
心が虚しくなる
一人取り残されたように感じ
寂しくて仕方がなくなる
この得体の知れない気持ちは、彼との間に隙間を作り私達の関係はギクシャクしていった。
後から知ったのだが寂しさの原因は、過去世のスイッチが入ったからだった。
彼とは恋人同士で成就しないまま終わっている過去世がある。
私は彼の子供を身ごもっていた。一緒になる事を夢見てた私は、幸せの絶頂にいた。そんな時、突然彼の父親に無理矢理引き裂かれてしまう。その後、彼は名家の令嬢と結婚し権力を手に入れる。ショックで流産した私は、うらぶれた人生を送るというものだった。
無情にもカルマは、今世の私に同じ感情を味合わせたのだった。
私はただ彼と気持ちの交流をしたかったのだが、彼は私との隙間をコントロールという形で埋めようとしてきた。
私は、人からコントロールされるのが大嫌いだった。
ただ、この時私はまだ知らなかった。彼が愛を知らない人だということを。支配することが愛だと彼はずっと信じていたのである。
私達は、恐れが邪魔をして向き合うことをせずにすれ違っていった。