彼に仕事をお願いしてから、私達はよく連絡を取るようになっていった。体調がまだ万全ではなかった私には、彼が救世主のように見えた。彼が私の仕事を引き受けた理由の一つに、彼自身のある思いが隠されていた。
その思いとは、彼が同じ業界のある業種の方に過去に何度か騙されていた事から由来していた。その経験は、彼の心に怒りや恨みいう感情を生んで今もまだ渦を巻き続けていた。
全ては、ここから始まった気がする。
私と彼の間には、いつも闇が存在していたのだ。
その時の私は、彼の闇がそこまで根深いと気付く訳もなく
逆にそんな彼なら最後まできちんとしてくれるだろう
さらに彼を信頼する要因にさえなっていった。
仕事上とはいえ、彼との会話はとにかく楽しかった。彼と話しているとなぜか心が落ち着いた。
そして、たった一度だけ考えたことがある。
この人と不倫出来るかな?って。
う〜ん、ないな、ないない(笑)
恋愛感情がないのは一目瞭然だった。
だって彼は、私のタイプではなかったのだ。
客の立場ではあったけど、信頼関係がなかったら成り立たない今回の案件を、一緒に成し遂げている
そんな充実感で一杯だった。
本当に彼と出会って良かった。年下の彼に少し言葉の物足りなさを感じてはいたけれど、別に今回の案件だけ上手くいけばそれで充分である
この時は、まだそんな風に思っていた。