こんにちは、田中リサです口笛

今回は芥川賞チャレンジ、第十八弾、

諏訪哲史 アサッテの人


について感想を書いていきたいと思います。


では、ネタバレあらすじからどうぞ。



主人公は「アサッテ」の人の叔父について、自分の記憶や叔父をモデルにした小説の草稿、叔父の家から引き取ってきた日記から、叔父について小説を書こうとしている。


叔父は突然おかしな言葉を発し、理性があるのかたびたび妻や周囲を混乱させていた。


発する言葉でも頻度が高いのが「ポンパ」「チリパッハ」「ホエミャウ」「タポンテュー」。


「ポンパ」は主人公の祖父がたびたび口にしていたので、叔父もある種の支離滅裂な音列に対して異常な関心をもっており、彼はなんらかのふとしたきっかけから自分の嗜好に合った音を見つけ出したに違いないと主人公は考察する。

そして自分の思い出と共に叔父の不思議な発音のものの元を紐解いていく。


叔父は幼い頃から吃音持ちで苦しんでいたが、20歳のある日突然吃音がなくなる。

それから叔父は「吃音的なもの」=「アサッテ」を求め始めたのではないかと主人公は推察する。


叔父の日記から、叔父が仕事として担当していたエレベーターの作動監視においても「チューリップ男」と呼ぶ「アサッテの方向」に身をかわそうとしている男がいた。男は決して精神がおかしくなったわけでもなんでもなく、人知れず奇行に走ることで精神を安定させているのだ。

おじは妻が亡くなってから「アサッテ」に向かって尖ってゆき、「アサッテ」が定着してしまい、旅行へゆくと姿を消し、いまだに見つかっていない。



メタ的な描き方が新鮮でした。

「アサッテ」とは?「ポンパ」とは?

徐々に説明され、ストレスも無くなっていきました。

精神がおかしいのではなく、人は時に逸脱した行為をすることで正気を保つのかなと思いました。


芥川賞で選評が割れなかったのが不思議なぐらい異色な作品ですキョロキョロ


入り組んだ文章でしたが、伝えたいことはしっかり伝わってきたので、これが才能というものだと思います。