こんにちは、田中リサですニコニコ
今日は芥川賞チャレンジ、第十弾

金原ひとみ 蛇にピアス


の感想を書いていきたいと思いますチュー

超有名作品ですねちゅー



まずは、ネタバレあらすじからいきます。



主人公のルイはクラブでアマというスプリットタンの男に出会う。


スプリットタンとは蛇のように二股に分かれた舌のこと。


ルイはピアスの拡張にハマっていたため、アマに影響され、自分もスプリットタンにすべく舌にピアスを開け拡張することにする。

拡張するためにアマと訪れた店で店長のシバと出会う。

ルイはシバが彫り師と聞き、刺青を彫りたいと言う。そしてサディストのシバにも強烈に惹かれていた。

ある日、アマと友達のマキと飲んだ帰りに、ルイが暴力団員に絡まれ、アマがそいつを執拗に殴り警察を呼ばれ逃げ出す。

ルイは翌日の新聞を読み、アマが人を撲殺してしまったかもしれない想いに駆られ、新聞に書いてあったアマの特徴を変えるため、髪を染めたり、長袖を着て刺青を隠すようにアマに指示する。

アマが知らない間に、ルイはシバの店を訪れ、刺青を彫ってもらう代わりに、体を求められ、サディズムな行為に耽溺する。

ルイは冬を迎えて鬱っぽくなり、酒を飲んでつまみを食べる程度しか食事しなくなり、激痩せし、アマを心配させた。

ルイはシバと連絡を取り、シバの店にも警察が来たと知り、動揺するが、アマを以前より大切に思っていることが分かった。

そしてシバから結婚を申し込まれ、手作りのリングを渡される。

その日、30分帰宅が遅れるだけで連絡してきていた律儀なアマは帰ってこなかった。

アマの本名や職業すら知らないルイは、シバを頼り、警察に捜索願いを出し、アマが死体で見つかったことを知る。

アマは生きているうちに残虐の限りを尽くされた末に死んでいた。

生きたしかばねのようになったルイはシバの店で店番をしながら辛うじて生きていた。

アマについて何も知らなかったことを悔やむ。

シバとはいつの間にか付き合っているようになっていた。

そしてルイはシバがアマを殺したのではないかと疑いながらもシバと暮らす。




スプリットタン、刺青、ピアス拡張という体を痛めつけて改造するようなものがテーマの一つでした。


未成年独特の厭世観や身体改造を通した痛みを伴う生きていると言う実感が頭の中に流れ込んできました。

主人公のルイは男にドライで依存していない。

自分の本音を隠そうとして好かれようとなんて思っていない。

そこに好感を持ちました。

男に依存せずすぐにどこかに行きそうな風情だからこそ、2人の男に依存され、世話を焼かれているのだろうと思いました。

私は学生の頃にこの作品を一度読んでいたが、恋愛経験が乏しかったため、なぜルイがこんなにモテるのかわからなかったのですが、ルイは美しいから、男に依存しないからモテたのです。

ルイがM認定され、シバにサディスティックな行為に及ばれるのは、なんだか私も覚えがあります。男と女はSMに支配されているんだなと思ったのでした。



金原ひとみさんが弱冠20歳で書き上げたこの作品。

異色のテーマを取り扱っているのに破綻せず書き上げており、若者の死にたくなる心情も描かれており、すごいなと思いました。


しかし、なぜシバがアマを殺したのか、理由がよく分からないところが難点でした。

シバってそこまでルイに執着してるそぶりを見せてなかったし。

アマがシバを殺すなら分かりますが。

ここのロジックと描写が少し足りないのが残念なポイントでした。