また、3.11がやってきました。
あの日と違って、今日は、明るい光の射した春の訪れを感じる日です。

1年という年月は、長いようで短いですが、一様に心に重たくのしかかった1年だったと感じます。

地震の悲劇。
地震後の原発の悲劇。
被害にあわれた方々の悲痛な声。
テレビの特番では、本当にこれが平和な日本で起こったとは思えないような『現実』が報道されています。

そして、同時に、復興への前向きで強いエネルギーと強い団結力。
これは、今回、唯一世界に評価された誇るべき日本人魂だと感じます。

日本は「地震」「ツナミ」「原発事故」で世界中から大きく注目されることとなりましたが、
これからは、日本と日本人の持つ素晴らしいポテンシャルをもっと発揮して、
3.11後の新しい(けれども、伝統を重んじた)日本から
世界に発信していけたらと思います。

日本の大きな変革の時に、ここにいることは意味あることだと感じます。
小さなことでも、何かできることを見つけたら、
それが自分自身が今ここに生きて与えられた役割です。
それぞれの小さな働きが力となります。

私自身、元々、日本をとても愛しています。
日本の伝統文化、伝統美術、建築、そして自然、食。
全てを誇りに思い、日本に生まれたことをとても感謝しています。
そして、この時代だからこそ、日本にいたい。
ここにいることを許され、役割を与えられた者の一人として、日本の変革と共に歩みたい。
そう感じています。

この大きな悲劇を経て、日本人の多くが本当に大切なものを思い出す時、
小さな流れの集まりは大河となり、本当にあるべき方向へと流れていくでしょう。

繊細な心が生み出す古き良き日本の伝統と技術。
神代の時代から受け継がれてきた、美しい自然。
自然を敬い、生きとし生けるものを敬う、繊細で美しい心。

これらにあらためて目を向け、しっかりと自分たちの手に取り戻すとき。
日本は本当の意味で復興し、世界にその本当の良さを発信していくことができると思います。

先の1年を胸に刻み、またここから前を向いて進んでいきましょう。

最後に、
東北東日本大震災で犠牲になった皆さまのご冥福をお祈りすると共に、
今尚、避難生活を余儀なくされている皆さまが一日も早く安心した生活を取り戻されることを心から願っております。
また、復興と事故の復旧の為にご尽力下さっている皆さまに心から感謝すると共に、
どうか健康でいて下さるようにと願っております。

2012.3.11
土井里紗

指揮者・青木邦雄 (演奏:大阪アカデミー弦楽アンサンブル)による東日本大震災被災者慰霊の為の
葬送曲『無言歌』~雅楽シルクロード~