35歳を過ぎても約4割は結婚できる! 反証:「35歳過ぎて結婚できた男性はわずか3%」 | 桃色テラス

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あはれ来て野には咏へり曼珠沙華

三橋鷹女が理想です。

 ●実際は、35歳を過ぎて結婚をのぞんだ人の約4割は、5年以内に結婚できていたのでした。

 Jcastニュースで「35歳過ぎて結婚できた男性はわずか3%」という記事を見かけた。


 この手の記事は「結論ありき」だから、「都合の良い数字だけをピックアップして狙ったとおりの結末に着地させる」手法は珍しく無い。
 だが、「ほらほら、だから急がないと結婚できなくなっちゃうぞ!」と恐怖感をあおり立てる“結婚コンサルタント”のやり口にうんざりしてしまったので、なんちゃって反証~。


●3%って仰いますがね。

 〈2010年の国勢調査によると、2005年に35~39歳だった男性の未婚率は30.9%、5年後、40~44歳になったときの未婚率は27.9%で、未婚男性の9.7%しか結婚に至らなかった。
5年間で「3%」でしかないということになる。〉

 はいはい、ストップ。
 この「3%」という数字がくせ者。

 5年間の間に「既婚・離別・死別も含めた35~39歳の男性すべてを分母として」3%が結婚した、というコト。
 しかし、その1文前に書かれている通り、5年前に「未婚だった35~39歳を分母」とすれば、その9.7%は結婚したのだ。

 「35歳を過ぎてから結婚することの難しさ」を述べる文章なのだから、「5年の間に未婚者がどの程度結婚したか」を論じるのが妥当。
 わかってないアホならまだ救いようもあるけれど、妥当な「9.7%」を算出しておきながら、見出しにわざわざ扇情的な「3%」を用いるあたりが悪質。


●「結婚をのぞまない層」も案外多いのよ。

 結婚「できる」「できない」と意志が含有された言葉を使うのであれば、「する気がない」層も括弧にいれて計算しなければならない。

〈2010年の「結婚と出産に関する全国調査」によれば「いずれ結婚するつもり」と答えた人は、男女とも86%を越えている〉

 とあるが、これは「比較される側」の2010年段階、しかも18歳~34歳をの統計である。35歳以上の結婚を論じているのにココもおかしい。

 正確を期すなら、「比較元」の2005年段階、しかも35歳~39歳の数字を統計を用いるべき。「2005年に結婚していなかった人が、どのぐらい結婚できたのか」が焦点なのだから。

 2005年「結婚と出産に関する全国調査」によると、「いずれ結婚するつもり」の男性は81.8%。つまり、18.2%は「いずれ結婚するつもり」と意思表示をしていない。
 

●まとめ。結婚したい人の約4割は5年以内にゴールイン!
 
 2005年段階、35歳~39歳の男性未婚率は30.9%だった。
 2010年の40~44歳男性(上記の5年後)の未婚率は27.9%。
 そのうち、2005年段階で「いずれ結婚するつもり」だったのは81.8%。

 2005年段階で、「いずれ結婚する」と考えていた35歳~39歳の未婚男性は25%になる。
 2005年に未婚だった35歳~39歳のうち、9.7%は5年後に結婚している。

 つまり2005年に「いずれ結婚する」と考えていた35歳~39歳の未婚男性のうち、38.8%は5年以内に結婚しているという結果だ。
 

●という訳で、35歳過ぎてもそこそこ結婚でるから安心しましょ♪

 J-castの記事と10倍以上の差が開く。いつもなら「ハイハイ」と読み流すところだけど、まさしく不安やコンプレックスを煽る商法にイライラしたのでブログのネタとした次第。
〈晩婚化というより、35歳を過ぎてからの結婚は、男女ともに不可能に近いことが分かる。〉
 という記事は、根も葉もない脅迫まがいの行為だ。注目すべきは結婚コンサルタント…つまり「早く結婚なきゃやばい」と思う人が増えれば増えるほど儲かる人がネタ元だという点。

 私自身は希少…でもない「結婚しないよー」という層に属している32歳だが、35歳過ぎの友人が結構いるものだから、いたずらに不安を煽ってくれるなよ。





*計算に嘘はないけれど、種明かし。
 つまりこの手の記事ってこういうコトなんです。

・約4割は結婚できる…38.8%と書くより、4割の方がグッと多く聞こえるのね。だから敢えて四捨五入。

・2005年段階で「いずれ結婚するつもり」と回答した35歳~39歳の割合は、女性の方が1%程度多め。
でも、今回は(面倒だからというのもあり)男性のみを例に取りました。女性も含めると、もうちょっと結果が違うはず。

・「国勢調査」と「結婚と出産に関する全国調査」では数字に大幅に開きがある。
 2010年を例に取る。
 「国勢調査」40~44歳未婚男性:27.9%。
 「結婚と~」40~44歳未婚男性:9.5%。
  
「結婚と出産に関する全国調査」のサンプル数が少ないことに由来するのだと思う(男性全世代あわせて5040)。
 結婚をしていない人が提出しなかったケースが多いのだろう。だって、こんな風に「結婚できない奴はヤバイよ!」コールばっかりされてたらコンプレックスを感じて「結婚してません」とは回答したくないだろうからさ。
 ひいてはJ-castや私が論拠にした「いずれ結婚するつもり」のパーセンテージも怪しいということです。
 この手の記事を読むときは眉にたっぷりつばを付けてね!