人参とのつきあい方或いは『おうちでつくる南フランスの野菜たっぷり料理』(大石淳子) | 桃色テラス

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事物に対するあやふやな恋情≒物欲食欲、日日流され忘れてしまうような些事など、雑多な覚え書きの保管場所。
地元茅ヶ崎に関するメモ、私見偏見に満ち満ちた本・映画などの感想も。

あはれ来て野には咏へり曼珠沙華

三橋鷹女が理想です。

 「にんじんキライ」。好き嫌いの多いわがままなコドモが放つ(とされる)テンプレートと化した台詞だけれど、そのまんまオトナなっちゃった向きも多い。超卑近なソースは数年前に好きだった人(当時49歳)と叔父(とっくの昔に古希おめでとう)。焼きうどん一つをとってもチマチマと人参だけより分けて残してしまう様は、見栄えがよいとは言えない(但し個人的見地を申し上げれば萌ポイントといえなくもない)。

桃色テラス-綺麗な朱色

 彩りもよく値段も手頃、その上日持ちもするし甘くも辛くもアレンジOKな優秀選手! そんな人参を美味しく楽しくCOOLにモリモリ食べてもらうための料理をする際に便利な道具の小話を一つ。
 古式ゆかしい人参嫌いっ子対策の筆頭は、「細かく刻んで混ぜちゃえ!」という人参を人参とも思わない非人参道的な扱いだった。主にハンバーグ系の練り物や炒め物を想定した戦略は各ご家庭にそれなりの戦果をもたらし、現代に至っても尚有効とされている。
 しかしね、刻むのもそれなりに手間が掛かる。フードプロセッサーも洗うのが手間。だから、楽しましょ。
 
 *なんで急にこんなコト書くのかと言えば、今日の人参がエラくエグかったから。

 
●『おうちでつくる南フランスの野菜たっぷり料理』(大石淳子)
 野菜だけで美味しい、捨てレシピなしの名著


 フードジャーナリストの著者が南フランスを旅し、実際に一般家庭のマダムに教わった毎日のお総菜が満載、『おうちで作った南フランスの野菜たっぷり料理』を参考に話を進めたい。ひとかけらのアンチョビも使わず、野菜料理を「素材を生かしたナチュラルな味わい」なんてエクスキューズ抜きで絶対的に「ウマイ」と言わせる事ができる“捨て”レシピなしの名著。
 ガーリックとネギ類をプラスすること、スパイスとレモンや酢でエッジを立たせることがポイントになってくる。とくにクミンとガーリックの組み合わせは鉄板!

おうちでつくる南フランスの野菜たっぷり料理/大石 淳子

¥1,680
Amazon.co.jp


●チーズをおろさないチーズおろし
 お手伝い、お願いね


 閑話休題。
〈チーズおろしは野菜もすり下ろせて重宝する。にんじん、きゅうり、だいこんなどをサラダに入れたい時にも。野菜の切り口がザラザラとしてドレッシングもしみやすくなる〉
(『おうちでつくる南フランスの野菜たっぷり料理』122頁)

$桃色テラス-チーズおろし、人参スコーン
 左=IKEAのチーズおろし。大きくて安定感あり。疲れにくい!
 右上=太い面でおろした人参。フチはギザギザ。
 右下=人参スコーン。細い面とすり下ろし面で。


 キャロットのスパイスサラダやにんじんとカブのスープなど、人参レシピも充実の同書が勧めるのがチーズおろし。
 実際IKEAで約800円だった大きめサイズのチーズおろしを(人参用に)買ってから、人参の消費量が一気に増えた。
 すり下ろし、スライス、細切り太・細とバリエーション豊かでガリガリとおろす工程自体も楽しい。

 なにより「お手伝いしてね」と頼みやすい点がすばらしい。だって、自分で手を掛けたと思えば、それだけで美味しさが何倍にもなるから。子ども時代を振り返って思うのは、洗い物やお片づけじゃなく、何かを“作り出す”過程を手伝うのが一番楽しかったしね。