ぼんやりと陽が昇りはじめた午前6時
彼は目覚まし時計で目をさまし、寝癖を撫でながら大きな欠伸をする
消していた部屋の明かりをつけ、テレビのリモコン操作で点ける
いつものように彼はカーテンを開ける
そして散らかった部屋に明かりを取り込む
まだ9月だっていうのに、心なしか夜は少し空気が冬のように寒い
朝は半袖では震えるほど寒い
そんな毎日は彼に空しさを抱かせる
(おはよう)
まだ夜空の残る朝の空を見上げながら、彼は心の中でつぶやく
もう彼が彼女たちとの関わりを絶って数年…
同じ空の下にもう彼女はいない
あの日、彼は目の前でそれを目撃してしまった
そして、自分の境遇、運命、すべてを恨んだ
ここに来る前、彼は彼女との思い出をすべて処分した
そうすることで自分を強引に納得させた
だけど、彼を待っていたのは地獄のような日々だった
毎晩のようにあの光景がよみがえり…
最初の半年はまともに眠れなかった
そして彼は入院し、退院するころには以前のような推理を披露できなくなっていた
自分が事件を解決するほど、世の中が悪くなる
そんな気さえした
自分であの町に別れを告げ、やってきたここで
彼は直接は事件を解決していない
雇った弟子たちに調査を分配し、アドバイスしている
依頼は1日1件あればいいほうだ
かつては東の名探偵と言われた彼を世の中は忘れ
彼自身もかつてそう呼ばれていたことなどは伏せるようになった
そう、彼もまたこうして生きたまま死んだのだ
(さて、今日はどんな事件が舞い込んでくるんだろうな…)
彼は少しだけ生えたあごひげを触りながら鏡の自分を見つめた