こころ絵 『今日亦無事』 | 酒場人生覚え書き

こころ絵 『今日亦無事』

今日亦無事


旅行などから帰ってきたときに「全員、無事で帰りました」と知人・友人・家族に伝えたり、長い間無沙汰で過ごしている人に手紙を書くとき必ず「おかげで無事に暮らしております」と書き添えたりしますが、そこにはただの挨拶ではなく“無事”で過ごしていることの“幸せ”を伝えようとするこころが感じられます。


この“無事”という言葉、もとは仏教語で“精神的になすべきわずらいのない状態”のこと、言い換えれば“こだわりもなく、障りのない心の状態”をさしている言葉なのだそうです。
人は知らず知らずのうちに“悪いこと”が起こらないように願います。
そして、毎日が何事もなく平凡のうちに過ぎていくと、それに飽きたらずに何か“特別な良い出来事”が起こることを願ったりします。
人間の欲望は際限のないもので、欲するものが多すぎては、それと同じぐらいの失望や不幸が起きてしまうといいます。


             酒場人生覚え書き


 いつも心にしまっておきたいのは『今日亦(また)無事』という言葉・・・・
“特別な悪いことも、良いこと起こらず、日々が平凡であることほど良いことはない”という願いです。
世界ではいまもなお戦争とか紛争が起こっていますし、身近でも凄惨な事件が絶えず起こっていますがこれは、無事の反対の“有事”です・・・・そう思うと無事のありがたさが身にしみます。
無神論者であることが自慢だったような“悪たれ小僧”も、歳を重ねたいまは『今日亦無事』などと描きながら、家族の、知人の、社会の、そして世界の無事を願ったりしています。