コリア旅日記 ③ | 酒場人生覚え書き

コリア旅日記 ③


【三つ子の魂】


広辞苑によると「三つ子の魂百まで」とは『幼い時の性質は老年まで変らない』こと・

・・・だから、小学校時代の“”が40数年で変わるはずもない。


それは社会に出て順風満帆で生きてきたナンてのは少なく、大概が多かれ少なかれ辛

酸をなめながら今に至るだけに、“”の周辺を取り巻くナニかが変わって見えたり感じ

たりしても、ひと皮剥けばそこに観るのは“ハナ垂れ小僧”のままの素顔である。


これまでも千葉や山梨で一泊泊まりのゴルフはしてきたが、北海道並みに近いとはいえ

韓国は異国であり、その舞台の中に放り込まれた【七人の侍+ONE】が今までにない

素顔を見せたのも面白かった。


七人の侍の素描



S・KONNO


今回の『韓国ゴルフツアー』仕掛け人だが、遊びも仕事も大好き人間だからこそ彼の国

の知人友人がいて楽しい旅行となった。小学生のころから小柄だが今では中国語で言

う“大人”の風格も見せる。『四年生の時の一年間だけだったけど、先生に教わって本当

に良かったと思っていますよ・・・・』と、言ってくれるのは、なにもゴルフのためだけではあ

るまいと自惚れさしてもくれる。来月は仕事で釜山に行くとか言っていたな。



T・NAKAJIMA


チームに居なくてはならないキャラクターで、彼が居なかったらどんなにかつまらない事だ

ろう。天性の道化で頭の回転の良さがきらりと光る・・・・頭も光りつつあるのを気にしなか

った子供の頃『大きくなったら先生に車を造ってあげるよ』とよく言ってくれた。そして

今彼はその車社会で経営者として頑張ってる・・・・小学生時代に宿題の代わりだと言っ

て、ノートに書かれた沢山の車の絵を見せてくれたのを思い出すナ。



K・SUZUKI


ニックネーム『眠狂四郎』は学生時代から“先生”の金を巻き上げるべく、泊まり込みで

麻雀に押しかけては居眠りをしながらも、決して負けないかったからの命名である。飄々

とした風貌は剣豪の趣もあり、本当の教え子達よりも教え子らしい好漢である。韓国の

お土産屋で“円換算を間違えて倍近くを支払ってしまった”と嘆いていたが、結局は自

分の計算間違いで一件落着・・・・経営する三店舗の薬局の経営大丈夫なんだろか(笑)



S・ISHIWATA


小学校四年生の時に母親が帰ってみたら、黄色の顔で苦しんでいるので慌てて医院に

担ぎ込み、医者に『黄疸』と診断された翌日には顔色も戻り元気になっていた・・・・原因

は留守の間にザル一杯のミカンを食べてしまったからだったと、家庭訪問のとき母親が

笑い転げながら話をしてくれたのを今でも覚えている。それ以来、彼の顔を見るたびに

ミカン黄疸騒動』を思い出してしまうのだ。50を過ぎた今でもミカンが好きなのかナ?



Y・OKA


小学生の体育の時間にラクビーを教えた“変な先生”だが、その先生の教えに忠実にもっ

とも勇敢に突進し、捨て鉢のタックルをしたのが印象に残る。人生でもその片鱗が見受け

られるような気がしたものだ。今は前任地九州に妻子をおいての単身赴任で横浜に来て

いるが、来年には父母の住み暮らす川崎に家を建てるのだと、少し誇らしげに、そして何

故か少し残念そうに言っていた。単身赴任の楽しさはもう充分だろ!!



K・SATOH


夕日が光っている まん中は先生だ まわりに手をつないで光っているのはぼく

たちだ いつまでも手をはなさないぞ 》小学校四年生の時の彼の詩“夕日”である。

川崎工場地帯の煤煙によって奇妙に赤く染まった夕日が煙突と煙突の間に沈んでい情

景を思い出す。この詩のままに今に至るまで続くとは・・・・先生冥利に尽きる。便所で使

用済みの紙を流してもよいのか、備え付けの箱に入れるのか最後まで悩んでいたな。



M・YOKOTA


大学卒業のその日に卒業証書持参で“ぼんそわーる”に入ってくるや、満席のお客の

前でカウンターの中の先生に証書を広げて見せ『先生!卒業しました!』と大きな声

で報告してくれたのが、嬉し恥ずかしかったのがつい昨日のことのように思い出される。

明洞の繁華街のど真ん中でガイドブックを広げ見ながら、みんなを引率する律儀さと優

しさは彼の天性のモノだろう。 華麗なる“鶏の引きつり脚ショット”よ永遠なれ!!



僅か四年の教員生活を辞めて40年以上も経つのに“先生”と呼びながら集まってくれ

る“教え子”は、ほかにもそこそこ居て、折に触れる思い出話の中で「先生に教わって

良かった」と言ってくれる・・・・例えそれがお世辞であろうと「オレの人生もまんざらなも

のじゃあなかった」と思える一瞬でもある・・・・が



そんな言葉も本当だろうか・・・・と思ってしまう一枚である



無事到着・・・・また明日から戦いの日々




【旅の終わりに】


君たちが小学生の頃は、運動着の肩が薄汚れるほどに煤煙が降り注ぎ、眼がチカチカと

痛かったのは風に乗って教室まで漂い込んできた亜硫酸ガスの為だった。

そんな劣悪の環境にあっても、たくましく生きてきた・・・・その頃に比べて今はどうなんだ

ろう?


破壊されつつある地球も、崩壊されつつある人間社会も、全て人間のなせる業ならあの

頃と何ら変わっては居ない。

君たちの子供のために、そして、その子等の子供達のためにも“いま自分にできること”

を考え実行していこうよ。

狂乱の経済成長を遂げているかのような“彼の国”をみて、危惧とともに感じた雑感であ

る。

                                      コリア旅日記  オワリ