季節は刻々と変わる。


プロが仕上げた綺麗なグラデーションではなく
素人の作品のようなぎこちない
変化をする


5月の暑さは
幼稚な暑さだ
確かに陽射しは強くなり汗ばむが
それは本物ではない日陰に入れば涼しく、朝夕は肌寒くさえあるからだ。


それがわずか2、3週間のうちに
成長して
青年になる。

人で言えば中高生の年代




6月の朝
梅雨に入る少し前の朝は
一年でも格別な雰囲気を持つ。



東北の田舎街から東京に向かう夜行列車

列車も決まっていて盛岡発21時10分急行いわて
仙台までは徐々に人が乗って来て
仙台でしばらく止まり、完全に夜行列車になる

この時点で座席にかけている人は皆、上野まで行く。



そんな列車が午前3時くらいに
郡山だったか須賀川だったかまだ宇都宮まで行かない駅で止まるのだ。


朝もや
駅構内の赤色の信号灯
駅弁も売りに来ないあの駅のプラットフォームの風景こそが6月の朝だ



高校2年のこの時期、宿題をしたり、試験勉強をするために結局徹夜になることがあった。

その時、時刻表を見ては夜行列車に乗っていたら…と想像していたものだ。


つづく