父はその後
雨の日、看板を取り付ける作業をしていて
足を滑らせて
意識不明になる


奇跡的に一命を取り留め
10年の間、リハビリ生活をした

同棲していたおばさんが献身的に面倒をみていたが
70歳を過ぎた女性には介護も負担になり
ボクに相談があった

ボクには
確かに血のつながった父だが

世話をしてもらった覚えはない
という
冷たい気持ちがあった



浮気を責めたことはない
が、誠心誠意子供の生活を助けなかったことは責めた


なぜなら
女性との暮らしで経済的なゆとりはあったのだから

そのとき
母はボクと妹を育てるのに必死だった

そのギャップが
恨めしくさえ思えた


父は
いはば
自業自得だったのだと思った


今更父を引き取れないとおばさんに伝え、おばさん方の親族と相談の結果
当時住んでいた九州の町に面倒をみてもらうことにした

ほどなくして
父は死去
葬儀は一人で行った