顕微鏡の向こうの精子は
激しく動いていた


まさしく
細菌のような動きだった


想像していたのと違い
数がやたら多かった

こいつらの中で1番速く強いのだけが
卵子までたどりつくのだ


見ていて
感動すらした


自分の分身と思ったし、顕微鏡の中の精子は
確かに「生命体」なのだ



ティッシュで拭き取ってしまうときには感じない感覚だった


それが
5分もしないうちにだんだん動かなくなる

そして
最後の一匹が止まったとき
生命体の死を感じるのだ




健康な成人男性は体内で毎日、精子が精算されている


子供を作るわけでもないのに
野性の本能に従って精子は作られ続ける


その単細胞の精子のような
本能だけで女を求める
男が「精子脳」なのだ



だが人間は単細胞ではない

レディーに対しては節度を持ち
接したいものだ



たまに
本能が優先されてしまうかもしれないが