原題:BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID
時間:112分
製作国:アメリカ
ジャンル:西部劇
【監督】ジョージ・ロイ・ヒル
【出演】ポール・ニューマン / ロバート・レッドフォード / キャサリン・ロス / ストローザー・マーティン / クロリス・リーチマン / ジョージ・ファース / ジェフ・コーリイ / テッド・キャシディ / ケネス・マース / ドネリー・ローズ / チャールズ・ディアコップ / ジョディ・ギルバート / ティモシー・スコット / ドン・キーファー / ネルソン・オルムステッド / サム・エリオット
◆完全にネタばれしてます。
この映画は、実在した強盗団のお話なんですが、そう言うと「俺たちに明日はない」が思い出されると思うんですが、え?思い出さない?いやそこは、無理にでも思い出して頂きたい。あはは
この2作に共通するのは、主役がポジティブと言いますか、ムチャクチャ能天気な所ですね。私、そういうのに弱いんです。明日は明日の風が吹くさ的なね。
この映画の主役は、ポール・ニューマン扮するブッチ・キャシディ。強盗団のリーダーでグループの頭脳的な役割も担ってる。この人は とにかく悪知恵を働かせるんですが、割と行き当たりばったり。結果オーライでここまで来たような男なんです。
そして もう一人は、ロバート・レッドフォード扮するサンダンス・キッド。この人は、ブッチと違って考えない。口より先に銃が出るってほどの早撃ち。あ、レッドフォードが主催してる“サンダンス映画祭”は、この役名から来てるんですね。
この二人は、仲良いんだか悪いんだか、昔っからの腐れ縁なんですが、一匹狼だった駆け出しのキッドを いっぱしの悪に育てたのがブッチ。そしてサンダンス・キッドって名前を付けたのもブッチなんですね。
ハリー・ザ・スカンクw
そして映画の冒頭
銀行強盗の下見に行くブッチなんですが
銀行の警備が厳しくなってる。
無法者には、住みにくい時代に
なりつつあるんですね。
そして本作の冒頭は
セピアカラーで始まるんですが
それが、なんとも言えない味を
出してるんですが、これはまた後ほど
そしてブッチたちは
早々に銀行強盗をあきらめ
列車強盗をするんですが
列車の行きと帰りを襲うと言う
画期的な方法を部下が考えて、
それを自分の手柄にしてる そんな
ブッチが好きだ!あはは
ただ、その列車の持ち主が、追跡のプロを各地から集めてブッチとサンダンスを追い詰めるんですね。そして、その日から2人は、逃亡生活を余儀なくされるっていうお話なんですが
本作、所々で 時代の流れを感じさせるんですね。開拓時代から近代社会へと移り変わっていく、そんな時代の変化を。。。
古い奴だとお思いでしょうが、古い奴こそ新しいものを欲しがるもんでございます。と言ったのは誰だったでしょうか?あはは
自転車を乗り回し、写真に収まる二人。近代化したニューヨークを満喫し、新しい時代を謳歌する姿が、どこか郷愁的で 二人の行く末を暗示してるようで切なくなるんですけど、
どんどん便利になっていく反面、社会のルールや人生のレールが敷かれ “がんじがらめの社会” になっていく息苦しさや
新しい時代に胸膨らます反面、社会の閉塞感に対する 焦りや苛立ちを “来るべき明日”に向って抵抗するこの2人に重ねていたのかも知れません。
そして、俺たち無法者には もってこいの良い国があるんだ!そこに行けば、また昔のように 自由に遊べるぜ!と、未開の地へ みんなを連れてくるブッチ。
ここで、どうやって
遊べばいいんだ!とキッド。
電気がない! 電気がなかったら暮らせませんよ!と言ったのは、誰だったでしょうか?わはは
夢と自由を求めてアメリカからボリビアへとやって来たのは良いけれど、すっかり文明暮らしに慣れた彼らには、とても退屈な国。なんとも皮肉。
そして、あなた達の死ぬトコロは見たくない!とクライマックスを待たずに彼女が ここで退場。ここは、なんて冷たい女だ!と感じる所だと思うんですが、どんな時でも 一心同体の2人を見てると、コンビと言うよりも、まるで夫婦。
2人の間に、私の入る余地なんてないわ…
彼女は、そう悟ったんじゃないんでしょうか。
そしてもう一つは、今までの西部劇なら主人公は、敵をバッタバッタと倒すんですけど、本作の主人公は、逃げて逃げて逃げまくるんです。そして最後は未開の地で追い詰められちゃう。そんなヒーローの姿は見たくない。彼女は、西部劇のオールドファンの気持ちを代弁してたのかも知れませんね。
そして、とうとう2人は、追いつめられてしまうんですが、そんな時でもブッチは「良い国があるんだ!」と、キッドに持ちかける。
「お前の言うコト聞いて このザマだぜ!で、そこには銀行はあるのか?」こんな目に遭っても 全然、凝りてないキッドw
で、そこは何処だ?
オーストラリアさ!
じゃ、さっさと片付けて、こんな国ともおさらばしようぜ!と勢いよく飛びだす二人。
この次の瞬間、
映画は終わるんですが。
このラストを観終わった後、
また冒頭のシーンを観て頂きたい。
するとどうでしょう。あのセピア色
そして、あのブッチの表情。
その意味が分かると言いますか
なんとも言えない気分になりません?
いや、そこは無理にでもなって頂きたいw
その時代でしか生きられない男たち。
時代の流れに抗う姿は滑稽でもあり
また悲しくもありましたね。
“明日に向って撃て!”とは
本当、上手い邦題です。
男はつらいよを地で行く私の父親も
昭和でしか生きられない男だったな…
あ、まだ生きてたか。失礼。わはは
そして、ラストのストップモーション。
凄まじい銃撃音と共に 時が止まる。
セピア色の時代に 二人を残して。。。