=第34話「急変」=
「ぐれちゃんが、ぐれちゃんが・・・」
突然倒れたと連絡をもらって、ぐれおじさんを迎えに行った時、Yuさんは気が動転していました。
キャリーケースの中のぐれおじさんは、ぐったりしていて、表情も引きつっていました。
これはまずい・・・。
すぐにいつもの病院に担ぎ込みました。
「ぐれちゃんが倒れちゃいました」
看護師さんにキャリーケースの中のぐれおじさんを見せると
「直ぐに処置します」
と言って、処置室に連れていきました。
Yuさんは言葉もなく、震えていました。
2人は何も言葉を交わさず、待合室で待っていました。
10分か、15分か、
どれくらい経ったか分かりませんが、僕たちにはとても長く感じました。
「検査終わりました。こちらへ」
呼ばれて処置室に向かいました。
そこには、ピンク色の毛布にくるまって、ぐったりしながら点滴を受けているぐれおじさんがいました。
「体温は32度、血糖値も異常に低い20です。危険な状態です」
お医者さんはそう告げました。
「もうしばらく様子を見るので、また待合室でお待ちください」
神様、ぐれおじさんを助けて。。。
そう祈るしかありませんでした。
そして、またしばらく経って呼ばれました。
ぐれおじさんは糖分補給のおかげで、少し表情がしっかりしていました。
ぐれおじさんの頭を撫でると、ぐれは僕の目を見て
「にゃー」
と鳴きました。
お医者さんはぐれおじさんを見ながら、
「ご飯も食べてたのに、この血糖値はおかしいです。腎臓以外に何か障害があるのかもしれません」
と話し出しました。
あまりにも急な変化でした。
昨日までYuさん宅であんなに美味しそうにご飯を食べていたのに。
「そして、」
お医者さんは続けました。
「低血糖が原因で脳に障害も残るかもしれません。今日はこのまましばらく預かりますので、また夕方来てください」
僕とYuさんは、病院をあとにしました。
我が家に戻ると、ルナが僕を見つめて
「にゃあ」
と一声かけてくれました。
「みんなでお祈りしようね」
そう言いながらルナの頭を撫でたのでした。
第34話 完