=第27話「おかえり」=
ルナが奥に連れていかれてからしばらくして、看護師さんがやってきました。
「検査の結果ですが、腎臓の数値が悪いです。急性腎不全になってますね。でも、命に別状はありません」
僕とYuさんは、まずは一命を取りとめたことにほっと胸をなでおろしました。
「でも、もう少し遅かったら危なかったです。今後は腎臓の機能回復のために、点滴をし続けて尿を作らせないといけません」
ルナはギリギリのところで持ちこたえてくれたようでした。処置の終わったルナを見に行くと、腕に刺さった点滴が痛々しかったですが、さっきよりは表情が穏やかになっていました。おしっこが溜まった状態のときは本当に辛そうな顔だったので、ルナの回復に涙が出ました。
僕とYuさんはいったん家に帰り、5時間後にルナを迎えに行きました。そして、そのままかかりつけの病院に転院。点滴を続けながら4日間入院しました。数値が回復するにつれてみるみる元気を取り戻したルナ。お見舞いに行くと、
「早く帰りたいにゃー」
と僕の目を見つめて鳴き続けていました。
「頑張れ!もう少しだよ!」
と励まし続けました。
そして、4日ぶりの帰宅。
真っ先にルナの様子を見に来てくれたのはぐれおじさんでした。
わが子のように育てたルナが心配だったのでしょう。ぐれおじさんはルナの鼻に自分の頬を擦り付けて
「おかえり」
と言っているかのようでした。
ルナはそっとぐれおじさんの横に寝転がりました。
第27話 完