=第26話「ルナの危機」=
忘れもしない、2017年の4月25日のこと。
いつものように夜11時頃仕事から帰ってくると、何かいつもより家が静かな気がしました。いつもなら猫が数匹玄関までお出迎えしてくれるのですが、誰も来ない。僕はあまり気にせず、部屋に入りました。ご飯はタイマーで仕掛けて仕事に行っていたのですが、もう少しおやつをあげようと、猫たちに声をかけました。
すぐにティオパパやうららちゃんはやってきたのですが、いつもなら真っ先によってくるルナが来ません。
「ルナ~🎵ルナく~ん!」
寝てるのかなと思いながら呼びかけました。
出てきません。
おや?
と僕は猫トンネルの中などを探しました。すると、いつもはルナが入らない猫トンネルの中に、ルナが隠れてるではありませんか。
「ルナ~。出てきなよ~」
そう言いながら、猫じゃらしを振りました。
でも、ルナはうっすら目を開けてこっちを見てるだけで、動きません。
嫌な予感がして、ルナをそーっと引きずり出しました。
すると、ルナのお腹がパンパンに膨れているではありませんか。
これはまずい!
すぐに近くの救急の動物病院に車を走らせました。車で10分程度の所に救急病院があったのは前から知っていましたが、利用したことはありませんでした。でも24時間対応ということは分かっていたので、病院には連絡もせず連れていきました。
信号待ちの度に、キャリーの中のルナの様子を伺いながら、車を走らせました。
病院に着いて、看護師さんに事情を伝えると
「すぐに検査します。お待ちください」
と言って看護師さんはルナを奥へ連れていきました。
僕は震える手で、元奥様のYuさんにLINEをしました。
「すぐ行く!」
そう返事が来ました。
当時既に独り身だったのですが、ルナの一大事を知らせずにはいられませんでした。
待合室にいる間、ずっと手が震えていました。意味もなく時計をちらちら見たり。とにかく落ち着きませんでした。最悪なことは考えたくなかったけど、ついつい、いろんな想像をしてしまう自分がいました。
そして、20分後、看護師さんがやって来ました。
「結石が尿管に詰まっていました。今、石を取り除き、尿を出しましたが、精密検査してますので、このままお待ちください」
僕は頭が真っ白になりました。
程なくして、Yuさんも到着。そして、また看護師さんが検査結果を持ってやってきたのでした。
第26話 完