おせち | らいおん日記

おせち

俺:あけましておめでとうございます。

姉:あざす。

俺:正月といえばおせち。

姉:親元なんかに行くとよく出てくる。

俺:おせちって、まずいよね。

姉:あれはもともと縁起物やから、美味しいかどうかは関係ないよ。

俺:もともとは、節句料理の一つで、正月だけ文化として残っちゃったみたいね。

姉:じゃあ、神様に捧げる料理ってこと?

俺:それが転じて、暮れに日持ちするものを作って、正月は台所に立つ必要がないようにするための料理となったらしい。

姉:なんで、お正月に台所に立ったらダメなの?

俺:正月から火を使ったら、火の神様が怒る。

姉:短気ね。

俺:なんか荒神様といって、三面六臂らしい。要するにアシュラマンです。

姉:全然、要するにになってないよ。

俺:だから、正月から火を使うと阿修羅バスター。

姉:やっぱり、おせちは重要。正月早々阿修羅バスターはきつい。

俺:今は21世紀ですよ。オール電化で阿修羅バスター破り。

姉:日持ちするものを作って、正月くらいお母さんの労をねぎらおうってのもあるんじゃない?

俺:カレーの作り置きでいいよ。つか、ガスト行けば解決じゃね?

姉:正月らしさがちっとも無いよ。

俺:せめて、もうちょっと美味しければ、食べようかなって思うんだけど。

姉:そんなにまずくもないと思うけど。

俺:おせちの意味合いを崩さなければ、他の具材でも良いのではないだろうか。

姉:数の子は、卵の数が多いから子孫繁栄とか?

俺:数で勝負する時代は終わったんですよ。

姉:でも卵1つじゃ、子孫繁栄感がないよ。

俺:じゃあ、質の良い卵が数個ある卵料理でいいな。
姉:卵でお腹いっぱいになるじゃない。

俺:小さめにしときましょう。

姉:黒豆。マメに働き、マメに暮らせることを願う。

俺:いや。働きたくないから。

姉:これ食べて、ちゃんと働きなさいよ。

俺:大豆は「畑の肉」と呼ばれるけど、ここは素直に肉を食べたい。おせちにパンチが無いのは、肉料理が無いせいだと思う。

姉:肉だけでお腹いっぱいになるじゃない。

俺:小さめにしときましょう。

姉:エビ。腰が曲がっている様子を老人に見立て、長寿を祈願。

俺:エビは僕が好きなんで、採用しましょう。すんごい曲がったのを準備します。

姉: 昆布。「よろこぶ」の語呂合わせ。

俺:駄洒落じゃないですか。そんなんだったら、おせちで労を「ねぎらう」で、ネギでもいいじゃん。

姉:紅白なます。これは祝い事の水引からだよね。

俺:酢の物嫌いなんですよ。器を紅白にするから勘弁して。

姉:お雑煮も広義のおせちだよね。餅が長くのびれば、寿命がのびる。

俺:長いものならいいんじゃないでしょうか。麺類などがうってつけ。

姉:卵・肉・エビ・ネギ・麺・紅白の器。カップヌードルじゃない。

俺:おせちの基本となる、保存の観点からも申し分なし。味、価格、認知度。究極のおせちはカップヌードル。

姉:もともとは、神様に捧げる料理なんでしょ?んなもんすすったらバチがあたる。

俺:神様なんぞがいるならば、正月からカップヌードルをすする人間を創り出すだろうか。

姉:おやすみ。

俺:おやすみ。