こんにちは、Linです。
台風が日本列島全土に吹き荒れていますが、FC町田ゼルビアにはそれ以上に大きな嵐が吹き荒れています。
金曜日の未明、とんでもないニュースが駆け巡りました。
大手IT会社のサイバーエージェントが、J2のFC町田ゼルビアを買収。
来季の大口スポンサーではありません。来季からクラブを「買収」するわけです。
クラブの筆頭株主として、10億円弱でクラブの株の過半数を買うということだそうですが、実質的にはクラブを買い取るということですね。
サポーターの間では期待や歓喜の声と同じくらいに不安や懸念の声が上がっています。
この報道の翌日にはサイバーエージェントの子会社であるCygamesがサガン鳥栖のスポンサーから撤退するという報道も出たため、事態がさらに慌ただしいものになっています。
ましてや2006年から第2位株主となっていた東京ヴェルディのスポンサーをわずか2年で撤退した過去も、さらに町田のサポーターに不安を与える要素になっています。
サイバーエージェントとは一体どのような会社なのか?
なぜサイバーエージェントはこのタイミングでの買収に至ったのか?
なぜそれが町田なのか?
噂されている内容についてはどうなのか?
そして、今後どのようなことが起こるのか?
一つ一つを徹底分析して行きたいと思います。
まず、サイバーエージェントはAmeba(アメブロなど)の関連事業とインターネット広告事業を主とする企業で、本社は東京の渋谷区にあります。
ちなみにCygamesはこのサイバーエージェントの子会社ですね。
連結売上高は3700億円を誇り、営業利益も300億円、総資産は1600億円以上です。
大企業中の大企業ですね。
サイバーエージェントがこのタイミングで買収に至った理由として考えられるのは、既存の事業が安定して来たことにより、今度はプロスポーツにも事業展開をしたいと目論んでいるからだと思います。
AbemaTVでも様々なスポーツの中継や特集を放映していることから、少なからずその方向に意識が向いていることは間違いありません。
スポンサードではなく買収ということで、サイバーエージェントにとってはこれが初のプロスポーツへの本格参戦となります。
それが町田だった理由はいくつか挙げられます。
まず、東京のクラブ、つまり在京クラブというプレミアムがあること。
いくら東京のはずれでほとんど神奈川県のように扱われてはいても、FC町田ゼルビアは在京クラブです。
東京のプロスポーツクラブを保有しているということだけでも会社の株価や評価を上げるには十分でしょう。
その中でも特に地域密着度が高い、伸び代のあるクラブとなると、真っ先に町田が浮かぶことは我ながら間違いないでしょう。
さらに町田が安価で手に入るクラブであったことも否めません。
今シーズンは首位争いを繰り広げ、かつてない好成績で何度もJリーグの話題を攫っています。
企画力などはJでも屈指のレベルを誇るため、これだけいい意味で話題に事欠かないクラブを10億程度で買えるならば損はないという打算が働いたことでしょう。
ここまで買収の報道とともに様々な憶測も流れています。
特にサイバーエージェントによるクラブの渋谷移転の噂が後を絶ちません。
はっきり言えることは、渋谷移転は「全くあり得ない」ということです。
地域密着度を買収時の一つの項目としていたことを考えると、当然ながら移転によってそれが失われることは容易にわかっているはずです。
渋谷への移転などというのはポリシーに矛盾し、自分で自分の首を締めるだけなので、まずあり得ない話でしょう。
加えてサイバーエージェントとの買収交渉で、クラブ側がその条件を認めたとは思えません。
それからCygamesの鳥栖からの撤退とサイバーエージェントの町田買収の関連性についても憶測がありますが、そもそもCygamesが撤退したことに町田の件は絡んでいないと思われます。
以下の記事での堀江貴文Jリーグアドバイザーの発言からもそれは伺えます。
「おそらく真相は鳥栖の社長が大口スポンサーに断りもなく高額年俸の選手とったり、息子を社長にしてバスケットボールチーム作ったりした挙句、さらに高額のスポンサー要求をしたことによると思われる」
つまりこれは事実であれば完全に鳥栖側の失態ということで片付けて良い話です。
最後に、今後町田がどのようになるのかという問題について触れておきましょう。
フロントにはサイバーエージェントの役員が送り込まれるはずです。
ただし、現在のFC町田ゼルビアを見て買収を決めたわけであり、それだけにサイバーエージェントがクラブの根幹を覆すほど大きな変化をクラブに強要することはないのではないかと思います。
ただし、資金規模は尋常ではないレベルでアップするでしょう。
これまで地域の小口スポンサーなどの協力を得ながらやってきたクラブに、いきなり大企業からの強力な資金が投下されるわけです。
補強のみならず、慰留にも役立てることができ、施設の拡充や新設も捗ると思われます。
特に練習場とクラブハウスの問題は早期に解決されるべき問題であり、この点についてもすでにサイバーエージェントは手を打っていると考えていいでしょう。
貧乏クラブと揶揄され、自嘲して来たクラブが、これから超規模クラブへと変貌を遂げようとしています。
母体企業を持たない地元のクラブというアイデンティティを捨てることへの抵抗の声も多いようですが、個人的にはJ1へ行くためには避けて通れない道だと思っています。
確かに失敗した時の損害は大きいどころか計り知れないことになるでしょう。
しかしそれを恐れて小ぢんまりとしたクラブのままでいても、何も好転はしません。
成績や地域の支えだけでは上に行けないという残酷な現実に直面した今、「それ以外」の部分にテコ入れをする以外に方法がないのではないでしょうか?
クラブの大きな覚悟を、どれだけ理解できるか。
すぐにはできないかもしれません。
それでも、町田のクラブ、FC町田ゼルビアというクラブの必要最小限のアイデンティティさえ留めてくれればあとは発展するための過程だと割り切って受け入れられると思います。
明日には記者会見で正式発表される見通しとなっており、どのようなことが話されるのか、注目が集まります。