こんにちは。

大阪メトロ「淀屋橋」駅徒歩2分の大阪北摂遺言書作成支援センター(運営:リンクス綜合法務行政書士オフィス)の代表行政書士の大山です。

 

今回も遺言書の書き方でお悩みの方より、よくいただくご質問がございます。

それが、「遺言で確定拠出年金の受取人を指定している場合、その人が受取人になりますか。」という内容です。

 

結論から申し上げると、確定拠出年金の死亡一時金の受取りは、民法ではなく、特別法たる確定拠出年金法に基づきますので、遺言の内容は受取人順位には反映されません。

よって、原則は確定拠出年金法で規定された順位どおりに受取権限が帰属する形となります。

しかし、例外として、死亡後5年経過しても請求がない場合は、相続財産となるため(確定拠出年金法第41条4項、5項)遺言で指定した場合は、遺言通りの受け取りが可能になります。

 

まず、ご注意いただきたいのはこの受取人順位は配偶者はいずれの法によっても最優先的に受取権限がありますが、それ以外は民法889条の順位とは異なります。

民法890条で配偶者は実質的に第1順位となります。そして、民法889条によると第1順位は子、第2順位は直系尊属(最も親等の近い者)、第3順位は兄弟姉妹となっております。

 

一方、確定拠出年金法41条(遺族の範囲及び順位)に照らすと、

第1順位は「配偶者」

第2順位は「子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって死亡した者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していたもの」

第3順位は「第2順位に掲げる者のほか、死亡した者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していた親族」

第4順位は「子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって第2順位に該当しないもの」

となっております。

 

つまり、最も優先順位が高い遺族が配偶者であることは変わりはないが、第2順位以降に違いがあります。

 

そして、第2順位で重要視されているのは亡くなった人の収入で生計を維持されていたか否かです。

 

したがって、民法の法定相続では権利性がない者でも、確定拠出年金法の所定要件を満たせば、確定拠出年金を受け取る権利を持つ可能性があるので、民法の法定相続の順位通りと考えていると、思わぬ方が権利主張をしてくる可能性がありますので、注意が必要です。

 

なお、上記のような不都合を避けるためには、確定拠出年金法に基づき、遺言ではなく、ご本人が資産管理機関へ受取人の指定を生前に行うことも可能です。

 

以上のように、民法だけでなく特別法も想定した生前対策が今般重要となっております。

遺言書での生前整理とともに認知症に備えた任意後見の準備、さらには上記のような確定拠出年金の受取人の調整等を事前に行っておくことで終活をスムーズに進めることができます。

 

当センターは遺言書の書き方、遺言状の書き方、不動産の遺言状の書き方、預金の遺言状の書き方などのご相談をお受けし、公正証書遺言の作成手続支援について豊富な実績がございます。認知症や寝たきりに備えた対策についても実績がございますので、お気軽にお申し付けください。

 

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