●前回100%果汁のジュースなど、糖分の溶けた液体にイーストなどの酵母を入れるとアルコール発酵が起きることはわかった。
ではそもそも酵母とは何か?
というわけで、今回は酵母を作ってみましょう!
●まずは酵母
酵母は平たくいえばそのへんを漂っている雑菌の一種です。
その雑菌の中で特別人間に有用なものだけを、酵母菌や納豆菌、麹菌などとよんで区別しているだけです。
よく天然酵母とか言われますが、今の所人類は生命の合成に成功していませんので、人工酵母というものは存在しません。
なのでパン用などに売っている酵母(イースト菌)も全て天然です。
強いて言うならそこらにいる野良酵母とメーカーが研究して選びぬいた選抜酵母くらいの差でしょうか。
パン用だけでなく、ワイン用やビール用の酵母も売っています。
当然、市販の選抜酵母は味が良いとか、安定した発酵が可能などの利点があります。
しかしそれでは面白くないので、酵母も自然界にあるものを育てて自家製酵母で酒を作ろうというわけです。
●酵母の作り方
酵母作りの理屈はかんたんです。
必要なのは元になる酵母と、酵母の栄養となる糖分、そして繁殖環境のための水。
酵母はフルーツなどの皮、特に枝のついていた辺りに多く存在するらしい。
そこでフルーツを刻んで水につけておけば、果物の皮などについていた野良酵母が、果物の糖分を食べて勝手に増殖するとういわけです。
大体どのフルーツでも出来るようだが、今回はワインを作りたいのでぶどうで酵母を作ることにしました。
さて、理屈はかんたんだが実践すると意外と難しいことがわかりました。
先に書いたように酵母はいわゆる菌の一種で、空気中に多数存在する腐敗菌やらカビ菌などと大差ない存在です。
単にフルーツを水に漬けただけでは雑菌が湧いて腐る可能性もあるのです!
・・・というか・・・腐ってしまった^^;。
一回目、食べ終わったぶどうの皮を水につけておいておいたら、初めはいい感じに発酵していたのですが、途中から白カビがわき使い物にならなくなってしまった。
ではどうすれば酵母だけを育てられるか・・・これにはいくつか方法があるようだ。
一つ目は酵母にとって育ちやすい環境にすること。
2つ目は他の菌にとって育ちにくい環境にすること。
そこでやったことは
❍水温を30度前後に保つ(酵母の好きな温度)
❍瓶を煮沸消毒しておく
❍水に砂糖を追加(酵母の餌)
❍外気と接触させないようにする(大気中の雑菌を近づけない)
❍一日二回ほど酸素を供給する(酵母が増えるには酸素が必要)
温度を30度前後に保つにはパン焼き機や、ヨーグルト製造機があると楽です。
パン焼き機には、だいたい発酵機能がついているので、今回はそれを使いました。
フルーツをふんだんに使えば糖分が足りるかもしれませんが、ケチなのでまたしても葡萄の皮のみで行うため、あらかじめ水に栄養となる砂糖を溶かしておきました。
そして外気に触れさせないために瓶に入れ、蓋をします。
その瓶をパン焼き機の中に入れて、30度前後で保温します。
一日に2回ほど瓶の中を換気します。
蓋をきつく締めて瓶をよく振り、その後蓋を開け換気します。
振るのは液体内の炭酸を外に出すためです。
その後蓋をしめますが、きつく締めておくと炭酸で爆発する可能性があるので、普段は軽く締めて二酸化炭素が逃げるようにしておきます。
その状態で2~3日おいておくとぶどうの周りに泡が出て、アルコール臭がし始めます。
酵母が増殖している証拠です。
アルコール臭がするのは、酸素がない状態で酵母が活動すると起こるいわゆる発酵です。
酒造りの際には酸素を断つ必要がありますが、酵母を増やす時は酸素があったほうが効率よく増殖します。
気泡は酵母は増えるときに糖を二酸化炭素と水に分解するので、その二酸化炭素が泡になります。
酵母が液体内で優勢になってくると、他の雑菌は増えづらくなります。
また酵母は同時にアルコールを作るので、アルコール中では他の雑菌の増殖も防げます。
なのである程度酵母が増えるとだんだん安定してきます。
ついつい中を見たくなりますが、空気の入れ替え以外で、なるべく蓋を開けずにほっといたほうがうまくいく気がします。
そして一週間もして、皮などのゴミを取り除けば酵母液が完成します。
しかし、ここでいくつか注意点が。
酵母がアルコールを作りアルコール濃度が上がると、今度はアルコールを栄養源にする酢酸菌が増えることがあります。
酢酸菌はアルコールを酢に変えてしまうので、これが増えると酵母液は使い物になりません。
放置しすぎてスッパなニオイがしだしたらそれは失敗です。
美味いことシュワシュワする酵母液が完成したら次に進みましょう!
さぁ皆も一緒に酵母を育ててみましょう!