無知
無知である少年のなんと尊大で美しいことか。
このように感じてしまう私の固定概念や社会常識に囚われた、凝り固まった思考のなんと浅はかなことか。
人は環境と遺伝によって性格が形成されてゆくという、全くもって同感だ。
私が同じ状況下に置かれたとしても、あの少年のようには間違いなくなれないというのはこの道理である。
しかし何故私は美しいと感じるのだろうか、何故これほどまでに涙するほど心揺さぶられるのだろうか。
あの少年がこのまま心乱れず今の気持ちを貫いて欲しいと、何故感じるのだろうか。
全ての事には理由がある。私が感じるこの気持ちにも理由がある。
おそらく、多少の誤差はあるかもしれないが、私はあの少年に羨望という思いを少なからず抱いているのだろう。
生きる意味は人との触れ合いの中にある。外になど出ていない、それは閉じている。
そうでなければ何故、友や恋人や果ては不確定な国などというモノの為に死ねようか。
繋がりが強くなったとき、人は自分以外の人の為に喜んで死ぬことができる。
その境地に達した人のなんと美しいことか。その境地に達する事の、なんと難しく感じることだろうか。