「イエスタデイをうたって」

第8話の感想というか。

 

 

※以下ネタバレ

 

 

「家、来る?」

という爆弾発言からの8話。

 

緊張感のある沈黙の末、ついに榀子の家のドアの前へ・・・。

 

榀子「あの・・・ごめん。やっぱり、ごめん」

 

さすが榀子!

俺たちにできない事を平然とやってのけるッ!

そこに痺れないし憧れない!というか、怖いッ!!!

 

凄いな、榀子さん。

もはや爆笑したよ。

なかなか出来ることじゃないよ。

 

・・・でも、まあ。

榀子さんの行動については、

予想外でも納得の範囲内というか・・・。

 

 

今回は、榀子よりも陸生の方が印象に残りました。

主にその曖昧さと残酷さについて。

 

今回、陸生はアルバイト先である写真スタジオに

正式に就職が決まり、正社員となりました。

特にやりたいこともなく、なりたいものもなく、

ただ漫然と生きていた頃からは、少し進みました。

彼の人生は確実に前進しています。

(個人的には前進ばかりが良いこととは思わないけど!)

 

・・・が。

恋愛関係においてはね・・・。

今回で陸生の難点がより明確に見えてきた気がします。

 

長年の片思いがようやく実るかという場で、

急に手のひらを返され拒絶された陸生。

けれど、本人は怒りや悲しみより

「どこかほっとした」と内心感じていました。

その理由について「仕事に自信が持てないから」と

分析していましたが・・・。

どうなんでしょうね。

本当にそうなんでしょうか。

 

カメラに対する態度でもそうでしたが、

「頑張ったって叶いっこない」という諦め。

そういう諦念が、

陸生の人生のあらゆる場面に影響を及ぼしていると、

今まで視聴してきて思います。

自分に対しても。

仕事に対しても。

恋愛に関しても。

仕事に関しては少しずつ進んできましたが・・・

しかし、基本的に彼は諦めと共に生きています。

そして、現状から動こうとしない。

動くと変化が伴う。

変化の先には何があるか分からない。

失敗や痛みかもしれない。

それが怖い。

だから、諦める。

動かない。

今のままがいい。

 

・・・恋愛に関して、榀子との距離に関して、

今も陸生はこんな思考のなかに無意識にいるんじゃないでしょうか。

 

榀子は高嶺の花。

片思いから進んでしまえば、その先に何があるか分からない。

だから、進みたくない。

このままでいい。

 

結局のところ、

榀子と陸生は「変化を恐れて現状に居続けようとする」点において、似たもの同士なんじゃないかと・・・。

それを大人といえばそうなのかもしれないけれど・・・。

 

しかし、その無意識に振り回される方は

堪ったものじゃないですよね・・・。

 

今回は晴ちゃんが可哀想でね・・・。

多分、陸生の中では、

晴ちゃんの存在が今までより大切になってきてると思うんですよ。

だから、遅くまで待っていることに苦言を呈する。

「無理して会いに来なくていい」と気遣ったつもりでいる。

・・・けど、大切になってきてるからこその言動が、

逆に晴ちゃんを傷つけてるわけですよ・・・。

なんというか・・・不器用っちゃ不器用だけど、

自分の気持ちをはっきり出来ないゆえに相手を傷つける、

榀子にも晴にも曖昧な対応になる・・・

そういうところ、どうかと思うのよ、陸生!!!

 

そうなのよ!

どうなのよ、陸生!

お前も大概、女心を振り回す奴だな!

もうさっさと榀子と陸生でくっついて、

他に人に被害が及ばないようにしてください!!!

 

 

・・・モヤモヤして、取り乱してしまった・・・。

 

しかし、そうはいっても、

このモヤモヤこそがこの作品の醍醐味だと私は知っている。

知っているし好きだ!

が、モヤモヤする!!

 

 

・・・そんな感じな8話でした。

 

でも、毎回、この心の機微を繊細に丁寧に描き出すところに

感動もしています。