「デス・パレード」
全十二話、視聴終了後の感想です。


※ネタバレします。


◎「デス・パレード」
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☆全話視聴後感想

エレベーターを降りた二人が辿りつくのは
謎のバー・「クイーン・デキム」。
そこは「魂の裁定所」。
迎えるバーテンダーのデキムは「裁定者」。
そこを訪れる二人は、
デキムにデス・ゲームを強制され、
魂を裁定される。



最初は設定がよく分からず、
ただ眺めるように観ていたこの作品。

段々と世界観が飲み込めてきて、
引き込まれていった中盤。

時には暗く、時には明るく、時には重く、
様々に繰り広げられる人間模様には
魅了されました。

また、少しずつ明らかになる裁定者たちの事情。
理不尽な裁定のこと。
デキムの上司であるノーナの暗躍のこと。
花咲き爺のこと。

その設定の意味・・・考察・・・妄想も楽しく、
この作品のテーマやモチーフは何だろう。
この場面は、この人物は、何を描いているのだろう。
観ながら何度も考えました。


んが。

最終回を観終わった今、
若干、混乱しています。

いや。
そもそも考察をしたところで
何かが分かったわけではないのですが・・・。
ずっと分かったような分からないような
曖昧な気分でいます。
それでも楽しいからいいんですけどね!

いつか書いた
「蜘蛛の糸」がモチーフになっているのではないか
という考え。
あれはまだそう思っていますし、
あの花咲き爺も釈迦の位置にいるのだと思っています。

だから。
「蜘蛛の糸」で描かれていたような、
お釈迦様のカンダタへの理不尽な仕打ち。
何故、思いつきで救おうとし、
何故、試すような真似をし、
何故、また地獄へ落としたのか。
それなら最初から救済するふりなどしなければ
いいではないか。
蜘蛛の糸なんて心細い救済では
カンダタが他人を蹴落とそうとするのは
人間として仕方ないことではないのか。
何故、弄ぶようなことをするのか。

・・・まあ、「蜘蛛の糸」はこういう意図で書かれたもの
ではないかもしれませんが、こういう見方も出来るかな
ということで。

それが花咲き爺が作ったシステム・・・つまり、
裁定者と裁定される人間に当てはめて描かれ、
視聴者が裁定者の裁定に疑問を抱いたり、
反発を覚えたり、不愉快になったりする。
そういう風に作られていたのかなと
今でも思っています。

そして。
だからこそデキムと知幸によって
システムの欠点が明らかにされ、
最終回に近付くにつれ段々と変化していった。

デキムが裁定の在り方に疑問を抱き、
生と死と人間に寄り添って裁定したいと思い、
最終的に感情を手に入れた。
また、知幸は、そんなデキムの裁定によって、
人生についての考え方を改めることが出来た。

ハッピーエンド。


・・・ハッピーエンド、ではあるのだろうと思います。

ただ・・・。

確かにハッピーエンドの側面もありますが、
本当にそうなのだろうか。
そういう思いがどうしても拭いきれません。

「人間は人間を裁けない」
「裁定者は生命に寄り添ってはならない。
彼らが壊れてしまうから」

確かに。
裁定者が裁定だけを目的に作られた存在で、
そのためだけに存在し、
裁定をやめることが出来ないのなら・・・
もし彼らが人間と同じ感情を持ってしまったら
裁定がひたすら辛いだけの作業になるのではないか。
自分の存在そのものが苦痛になるのではないか。
まさに壊れてしまうほどに。

そう思うと、
オクルスの言葉は、ただ単に冷淡なだけではないと
感じられます。

というか。
オクルスが釈迦であるならば、彼は解脱しています。
解脱しているということは、人間が悩まされる
あらゆる束縛から解放されています。
そして、生死を繰り返す輪廻の輪からも外れています。

苦悩もなく、生死もなく、・・・
それは裁定者たちも同様の存在ではないでしょうか。
存在の初めから苦悩を知らない存在。
そのように裁定者が作られたのは、
もしかするとオクルスの慈愛なのでは・・・。
(オクルスのいるビリヤード部屋にはひなげしが
咲いています。その花言葉は幾つかあって、
どれが当てはまるのかは分かりませんが、
もし「いたわり」や「おもいやり」が当てはまると
すると・・・)

そう思うと、
デキムが感情を手に入れ、
ノーナが「生きたい」と切望するようになった現状は、
「スーサイド・ツアー」の始まりではないかと・・・・・・。

そうやって考えていくと混乱してしまって
何が正しいのか分からなくなります。
あ、いや、正しい事がないから楽しい作品だと
思うのですが、ハッピーエンドがハッピーでは
ないのではないかという不安を感じて
もやもやします。

いや、
何もかも私の妄想なので
全く見当違いの観方をしているかもしれませんが。

しかし。

しかし。

ああ、胸がわさわさする・・・。
ここから彼らはどうなるのか。
裁定はどうなるのか。
わさわさ・・・わさわさ・・・・・・
するので、

二期が欲しいんですけどーーーーー!!
二期!二期を早くっ!!


という、結局、感想をまとめるとこれです。
二期を早く。

そのように、個人的には結構ヒットな作品でした。

ああ、まだまだ書きたいことがあったけれど
収まらない。

特に8~9話は本当に好き。
あの鬱さ加減、大好き。
たまに見返して鬱になろう。
ああ、楽しいなあ、鬱々するの。