寒いー。
急に寒い。
何故こんなに極端なのか・・・。



全然関係ない話だけど。
「芥川龍之介全集」の5巻を読み始めました。
最初は「仙人」という超短編でした。
なんというか・・・妙な話でした。


※ネタバレします。


まず、出だしは、

仙人になりたいので、なれるような奉公先を
紹介してくれという権助。
困った口入屋が知り合いの医者に相談すると、
その妻が「じゃあ家に連れてきなさい」と言い出す。

というものでした。

当然、医者の妻は仙人になる術などを知りません。
で、権助にこう言います。

妻「それでは今日から私の所に、二十年の間奉公おし。
  そうすればきっと二十年目に、仙人になる術を
  教えてやるから。」
  「その代わり向う二十年の間は、
   一文も御給金はやらないからね。」

わお。
ブラック企業も真っ青の鬼畜の所業。
いや、住み込みで衣食住が保障されるから
まだましなのだろうか・・・。
しかし、二十年拘束で給金ゼロとは・・・。
鬼だな、医者妻。

その無茶な提案に権助は

権助「はい。はい。承知いたしました。」

二つ返事で引き受ける!
軽い!
いいのか、そんなノリで!
二十年お給料ゼロだよ!?
よく考えて!

しかし。
権助、言葉通りに二十年給金ゼロで勤め上げます。
で、仙人になる術を教えてもらおうとすると・・・

妻「では仙術を教えてやるから、その代りどんな
  むずかしい事でも、私の云う通りにするのだよ。
  さもないと仙人になれないばかりか、また向う
  二十年の間、御給金なしに奉公しないと、
  すぐに罰が当って死んでしまうからね。」

鬼も真っ青の悪魔の所業!
酷い。
これは酷い。
到底無茶なことをやらせて失敗させ、
給料ゼロで四十年こき使おうとか・・・。
ブラックにも程がありますよ・・・。

だが、権助。
喜びいさんで医者妻の云う通りにします。

庭の松に登って・・・
もっと登って・・・
右手を放して・・・
左手を放して・・・
落ちた!

殺人だ!!
だからよく考えろっていったのに!
     
と、思いきや、
空中に浮かんで
「おかげ様で私も一人前の仙人になれました。」
と感謝して空の彼方へ消えていく権助。

あれ・・・?
医者は二十年、権助をただ働きさせられた。
権助は念願の仙人になれた。
これって・・・winwinってやつ?
あれ?
もしかして、ハッピーエンド?
うん?


何だか妙な話だと思いました。

この作品、一般的な解釈では
「無欲に誠実に生きることが素晴らしい」
となってる・・・のかな?かもしれませんが、
私には、

勤め先はよく考えてから決めましょう!
あ、でも、洗脳から覚めなければ幸せかもよ!

とかいう話に見えました。

というか。
最後に権助が空の彼方に登っていくって、
もしかして松から落ちて死んでるんじゃ・・・。

まあ、でも・・・お空の彼方で幸せなら、まあ・・・。
いいのか。本当にいいのか。

何だか妙な気持ちになる作品でした。




芥川先生、変な読み方をしてごめんなさい。