「蟲師 続章」第一話~第三話の感想です。

蟲師はとても好きな作品だし、
アニメもとても素晴らしいので、
出来れば感想を継続したい・・・けど無理な気もします。
ひしひしとします。

毎回、短くなら継続出来るだろうか・・・・・・。

うーん・・・。

※ネタバレします。


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☆第一話「野末の宴」の感想です。

昔、飲んだ光る酒。
そのえも言われぬ味を目指し、
父親は酒を造り続け、病に伏した。
後を継いだ息子は、父の酒の味を目指し、
また酒を造り続ける。



はあああ・・・。
はああああ・・・。

息を詰めて観て、
深く堪能し、
心がしんとする。

またこの至福の時が味わえるなんて・・・。

はああ・・・幸せ・・・。

もうそれしか感想が出てきません。
多分、毎回それしか出てきません。
無理だよ。
感想書くなんて無理だよ。
でもこの感動をどうしたらいいんだ。

山奥の鮮やかで濃い緑。
黄金を放つ光酒。
父親が造る酒の樽に浮く泡。
日差しの薄さ。
闇の密度。
さわさわと発せられる酒の言葉。

全てが染み入るようでした。

ああ、良かった。
良かったなあ。

本当にそれしか言うことがありません。

続章、嬉しいです。



☆第二話「囀る貝」の感想です。

浜で囀る貝たちに凶兆を聞き取ったギンコ。
崖の男に「村中に備えを呼びかけた方がいい」と
忠告するが、返ってきたのは「己の身は己で守る。
村は村だ。俺には関係ない」という言葉だった。



10年前の悲惨な事故から拗れてしまった関係。
誰もが悪く、誰もが悪くない。

ただ、どうにもならなかった。

そのことを分かっていながら、どうしようもなく、
時が経つほどに拗れていくだけの親子と村。

互いの辛い気持ちが、
こちらにもぐっと重みを伝えてくるようでした。
後悔。懺悔。慙愧。無念。
色々言葉はあるけれど、最後に辿り着くのは、
「どうしようもなかった」という一言だけ。
その、とてつもない重さ。
身悶えするほどの抗えなさ。

心にぐっと重くきました。

そして、そのどうしようもないという共感からの
許しと再生。

まだまだ問題は残っているけれど、
ふっと重みが軽減したような、
そんな感覚を覚えました。

今回も良い話でした。

それから。
何と言っても。
最後の鳥が一斉に貝から飛び立つ場面。
映像の美しさにただ見入りました。
良かった。



あと。
小さい鳥が貝にもぞもぞ潜ってくのが
可愛いいいいいいいいい。
ああああ、かわいいいいいい。
・・・出てくるたびに悶えてました。



☆第三話「雪の下」の感想です。

常に側に纏わりつき、少しずつ体温を奪うため、
寄生された者の周囲には
いつも雪が降っているように見える。
そんな蟲に取りつかれてしまったトキ。
意識は寒いという感覚を覚えないが、
体は確実に寒さに傷んでいっている。
しかし、トキ自身は治療する必要を
全く感じていないようだった。


原作を読んだのはもうずっと前で、
しかも部屋の奥にしまいこんでしまったため、
続章に当たる部分の内容はほぼ覚えていません。
続章開始前に読み返そうとも思ったけれども、
折角アニメでもう一度新鮮な体験を出来るのならと
敢えて読み返さずに観ることにしました。

多分。
そのせいと、また、
アニメのゆったりした時間と丁寧な描写のおかげで、
原作を読んだ時には気付かなかったことに
気付かされていると思います。

今回も。
トキの寒さを感じない状態は、
彼の心が凍り付いているのに、
そのことに本人も気付いていない描写だったのだ。
・・・ということに、アニメでやっと気付くことが出来ました。

妹を亡くしたことで、
心が凍りつき痛みを訴えている。
なのに、その痛みにすら気付けないほど
心が固く凍り、停止し、麻痺してしまっている。
痛み=寒さに鈍感になってしまっている。

それが妙の心臓=温かい心で溶かされて
感覚が戻っていく。

そういったじんわりとくる物語だったのだと、
アニメでようやく気付くことが出来ました。

・・・気付くのが遅い?
まあ、いいじゃないか。


正直、この三話は心を強く揺り動かすものは
ありませんでした。
しかし、新たな発見と、静かに降り積もる雪の
美しい映像で、じわじわと何かを感じることが
出来たと思います。