「新クロサギ」16巻の感想です。


最近、漫画を読む時間がないよ~。

色々溜まるよ~。

悲しいよ~。




※ネタバレします。



◎「新クロサギ 16」

新クロサギ 16 (ビッグ コミックス)/小学館
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この巻には、


「和牛のオーナーになれば売却利益で高配当」と謳い、

実際には集めた金だけで自転車操業を繰り返していた

「和牛預託詐欺」の完結編。

海外貿易の際、取引を行う国内企業と国外企業の間に

銀行が入り、一時的に代金を立て替える「LC」を

悪用した「LC詐欺」。

そして、まだ内容が分からないけれど、最近存在を

忘れ去っていた「アカサギ」っぽい詐欺師の登場する

「ブライダル詐欺」の触りだけ。


こんな内容の話が収録されていました。



「和牛預託詐欺」。

「青空の下、広い牧場で放牧され、伸び伸び育った

高級和牛達。一口30万~100万円でオーナーに

なれば、牛の売却利益で高配当が約束されます」

こんな文句で客を募り、実際は牛の売却ではなく、

客から集めた金を回すだけの自転車操業をしていた

「日之浦あおぞら牧場」。

当然、会社は次第に苦しくなり、ついに破綻します。

その破綻後の話が作品内では詳しく描かれていました。


というより、

破綻後に社長や幹部が隠し金をどうやって守るか

四苦八苦する話・・・と言った方がいいかもしれません。


カモから金を集めるだけ集めた。

けれど会社が巨大になり過ぎてしまって、

破綻したからといって無傷では逃げられそうにない。

被害者から訴訟を起こされるのは勿論のこと、

マスコミにも大々的に報道され、

雲隠れなど不可能な状況。

被害者の補償は僅かな金だけで何とかするつもりだが、

このままでは隠しておいた巨額の資金を見つけられる

かもしれない。

どうしよう。


で、その道の専門家・・・に化けた黒崎君に相談、と。

とても素敵に盛大な自爆のお話でした。

最初の一歩から間違えている(笑)


それはともかく。

この話は「安愚楽牧場」の事件を下敷きにしたもので、

「実際に起こったこと」が元にあります。

物語内では黒崎君の介入に加え、神志名警部補の

熱意によって、詐欺師達は逮捕され、被害者にも

多少の補償がされそうな終わりでしたが、

現実ではそうもいかないと思われます。

実際、巻末の「データ・ファイル」にも「被害回復には

ほど遠い状況が続いている」と書いてありました。

それを思うと、この作品内での滑稽な詐欺師達の

右往左往の様子も、単におかしいだけでなく

何だか複雑な感情を抱かされます。

そして、ネットで多少「安愚楽牧場」を検索してみたところ、

被害を救済するといって騙す二次被害も出ている模様。

・・・何だかなあ。



「LC詐欺」。

言葉も文化も常識も違う、異なる国の間で行われる

海外貿易。

違う国の企業と企業の間の取引にはトラブルがつきもの。

そのトラブルと取引にかかる時間を軽減するため、

銀行が企業に発行する「LC(Letter of Credit)」。

これを使うと、輸入企業と輸出企業の間に銀行が入り、

銀行が輸入企業の代わりに輸出企業に代金を支払い、

一時的に立て替える。


その制度を悪用したのが、この「LC詐欺」の話でした。

簡単にまとめると、輸入企業と輸出企業がグルになって

銀行から金を掠め取ろう、というそういう話です。


ですが、この作品内ではここに「ひまわり銀行」が

絡んできて、ちょっと複雑な様相を呈していました。


そうです。

「ひまわり銀行」です。

「ひまわり銀行」といえば「悪の組織」です。

そして「悪の組織の極悪人」宝条さんです。

その宝条さんが今回「LC詐欺」でやろうとしたのは・・・


ある女性社長の会社に何度も融資し、

その会社が優良であると見せかける。

何度も融資し、ちょこっと仕掛けもし、会社は有名になる。

女性社長はマスコミに「時代の寵児」として持て囃され、

会社はますます有名になる。

そして、ライバル銀行が多額の融資を行ったタイミングで

ひまわり銀行は手を引く。

その後、ライバル銀行には「実はこの会社の業績は

粉飾でした~。残念☆」というドッキリが・・・。

ちなみにライバル会社の金はLC詐欺により、

社長とグルの会社と、あとは当然宝条さんへ。

よし!ライバル蹴落とし、成功!


って・・・気の遠くなるような計画ですね!


宝条さんは意外とディズニーの国のながーい行列に

並ぶのも気にならない人かもしれません。

・・・行きそうにないけど。


えーと。

それはともかく。

この話で一番印象深かったのは、LC詐欺の方法でもなく、

宝条さんの気の長さでもなく、ひまわり銀行の立派な

悪の組織っぷりでもなく、ひまわり銀行のお姉さん

意外といい感じに罵られたい感じだわとかいうことでもなく、

マスコミが詐欺師を「時代の寵児」として何度も持て囃して

きたことがあるという事実でした。


これは作品内だけでなく、現実でもそうだったようです。

まあ、思い返してみれば、詐欺師かどうか微妙なラインの

人なんかが持ち上げられていた記憶があったりなかったり

しますが、やはり完全にこれはヤバイという人も持ち上げ

られていたりしたのでしょうね。

なんとなくマスコミや世間で立派と言われている人を

無条件で「凄い人だ!」と思ってしまうので、

そういうところ、改めたいと思います。

世間なんて嘘ばっかりだ!

グレてやる!

・・・今って「グレる」とかって使うのかなあ??

使わないとしたら何て言うの?

「傾いてやる!」とか・・・?



「ブライダル詐欺」。

これは始まったばかりなので、まだ何とも話の方向が

見えません。

が、この作品内では存在をすっかりなかったことに

されていそうな「アカサギ」が出てきたのにびっくりしました。

まだいたんだ・・・。

これからこのアカサギとさり気なく婚活パーティーの

会場に出没していた黒崎君が何をやらかすのか

気になります。





えーと。

今回はこんな感じでした。

あ、この巻は料亭シーンがなくて(レストランとかは

あったかな)食べ具合やお皿の移動具合が確認

出来なくて寂しかったです。

いつも楽しみなんだもん!


あ、

あと「(株)うにデザイン」という会社があって

とても気になりました。

あの服とは関係あるんですかね!?