「好き」なんだ。

そんな気がする。

いつの間にか好きになってたんだ。

自分の気持ちに、今気づいたんだ。



私は、


「S・A」が好きなんだ。


きっと。



正直、一般的に見たらこのアニメは微妙という評価かも

しれない。

少女漫画としての恋のときめきも、努力に奮闘する主人公

にも、いまいち共感できない。どこに重点を置いて見たら

いいのか分からない。

そんな戸惑いを感じてしまう作品かもしれない。


けれど、私は好きだと言える。


コメディ、ギャグ、何と言ったらいいのか分からない。

そんな型通りの言葉に当てはめて考えていいのかも

分からない。

ただどうしようもなく笑顔をくれる。

この作品が、私は好きだ。



第四話。


完璧すぎる兄をもった弟・翠(すい)の苦悩。

勉強、運動に長け、イケメン。おまけに父親の会社の

仕事ですらもこなしてしまう完璧な兄。

その兄に劣等感を感じる翠。


翠「無駄だよ。何したって」


そりゃーそうだよ!

勉強をやらせりゃ100点満点のはずを105点とって

くる男だよ?

ギネス級の高さの跳び箱を跳ぶ男だよ?

特に訓練もなくプロレス技を極めてたり、砲丸おにぎりを

食べると笑顔で言ったり、いきなり花壇の向こうから現れ

虫をとりだし、木に華麗にジャンプ、網一杯のトンボを

捕獲!(どうやれば網にああいう風にトンボをつめられ

るの!?)

一体何をやらせればうまくいかないと言うのか!?

何をやらせても完璧!

ていうか、完璧を通り越してヤバイ!

キモイの域に達している!

そんな超人だよ?

無理だよ。人間ごときがヤツに勝とうと試みても無駄。

弟君はよく分かってる。

つーか、滝島家の庭にはどれだけの数のトンボが

生息してるんだ、一体。謎の大量発生。


けれどそれでも苦悩してしまう弟。

そりゃあ、いつも兄を見ていればね。

そして、そんな弟の苦しみを、兄も分かっていました。


慧「翠を苦しめているのは俺ですね」

 「俺がいるから、比べられてしまう(俺が優秀すぎて)

  翠も気にしてしまって(俺が素晴らしすぎることを)

  そっとしておいてやりたいのに・・・(俺が完璧すぎて 

  ごめんね!)」


ぐはっ!

兄の気遣いが心に痛い!!

心配されているはずなのに、何故か攻撃されている

気がする!

耐えられない!

耐えられないよ、その棘の見える優しさが!!

まあ括弧部分は私の妄想ですけどね!


ああ、しかし。

しかし、です。

私はこの作品のそういう部分が大好きなのです!

何かちょっと嫌味で気に食わない。けど何かクセに

なる。何?マゾ?マゾなの私!?

パンピーを超人様たちに見下されたいの!?


いやいや。

落ち着け。

見下しだけではない。

いきなり花壇から虫を持って現れるストーカー部分も

大好きだ。

背中に蹴りを入れられながら冷静に話す変態部分も

大好きだ。

おにぎりを作るのに半日かかったあげくに鏡の光沢を

もつ物体をつくる超常現象部分も大好きだ。

歌が好きで得意なのに、ボイストレーニングではなく

喉を大事にするため普段は筆談という不可解部分も

大好きだ。

超優秀だからと言って日がな一日お茶飲んでまったり

過ごしてるだけの、学校の存在意義に真っ向から逆ら

っている支配からの卒業部分も大好きだ。

ああ、何か好きだ。

クセになるんだ。

もう大好きなんだ、この作品がっ!!



・・・これを人は中毒と呼ぶのだろうか・・・。

・・・もしかして「愛」と・・・。

いや、いい。

どちらにしてももう虜だから。




あ。

滝島の父の声が、心なしか、私の愛する蔵馬の声に

聞こえたような。

いや、気のせいか。

気のせいだ。

あんな父がいるわけ・・・・・・・