「もう時効ですよね。聞いてもいいですか?」
帰国したって聞きましたよ!
私に連絡くれないなんてヒドイ!!
飲みに行きましょう。何曜日なら会いてますか⁈
十代の頃からずっと変わらず落ち着きがないこの子はもお三十路だっていうのに文面でもうるさい。
お土産話沢山聞きたいです!っていうから来たのに一杯目も飲み終わらない内に有紗はわかりやすく置かれた私の地雷を踏みに来た。
「なに、」
「私、あの頃真剣にミサコさんはタカヒロ先輩と一緒になるもんだと思ってました。」
「…なんだそれ、いつの話してんの。」
「いつってそりゃもお10年以上も前の話です!だからそろそろ聞いてもいいかなって。」
「そんなの聞いてどうするの?」
「だって……あの後!ミサコさんニューヨーク行き決まって、タカヒロ先輩もすぐパリ行っちゃって、日高さん達も忙しそうだったけど会ってる雰囲気なかったし、あんなに一緒にいたのにバラバラになっちゃったんだなって…」
「私コレでもミサコさん達にめちゃめちゃ憧れてるんですよ⁈あの頃のギラギラしてた先輩達のこと近くで見れたことが私の誇りで、もお私の一部なんですから、勝手に消し去らないでくださいね!!」
「アンタも馬鹿だね…そんな昔の事律儀に仕舞い込んでるの有紗くらいだよ。」
「なに言ってるんですか、今回だってタカヒロ先輩のお父様の話聞いて飛んで帰ってきた癖に…。」
「有紗、」
「……っほら。結局まだまだ大事なんじゃないですか。ミサコさんだっていい歳なんですからね!あんな女の旦那になった男なんかほっときゃいいんですよ!」
「有紗、私も結婚するから。」
まだ私達を縛るものなんて何ひとつなくて、
ただひたすらに貴方の横で夢を追いかけていたあの頃
私達を阻むものなんて何もなかったのにそれでも選ばなかったのは、
こんな日がいつかくる事をどこかで初めから知っていたからなんだろうか。
「……ごめん。実彩子、俺っ」
「わかった。大丈夫だから。私なら大丈夫。」
あの時貴方の瞳をみたらその気持ちが痛いほどわかってしまったから。貴方を1番傷つけると知っていたのに私は何も言わず離れたんだ。
私達は互いを傷つけすぎる。

