「宇野、来月号の特集貴女のが決まった。」




「えっ⁈ 本当ですか?」




2年目ではなかなかない事よ。期待してるから。頑張って。」



「はい!!」





ブーブー ブーブー



「はい。もしもし宇野です。」





『あ、実彩子?俺。まだ仕事中だった?」





「あ、秀太?ごめん見ないで出ちゃった。あのね!こないだ出した私の企画通ったの!それで、ちょっと色々やってて今日は残業。」





「秀太はなんかあった?」





『あぁいや、大丈夫。頑張り過ぎるなよ。』





「うん。ありがと。」






「椎名、」




「はい!」




「今日のショーのデータ急ぎで明日の昼までにまとめて俺のデスク。それからお前のこないだのデッサン、ドレスからは採用無しだ。んで代わりにで悪いけど春夏コレクションのヘルプ入って。」





「了解です!お疲れ様でした!」




「おつかれ。」




大学時代の先輩が立ち上げたファッションブランドにデザイナーとして入って早5年。知らない間に気づいたら28になってた。




「おい翔!今日飲み付き合え。」




「嫌です。月曜から先輩に付き合ってたら疲れるし俺用あるんで。」




「うわっ、今年度1番使える椎名ちゃん手元に置いてこき使うやつは偉そうだねぇ。で?何の用なんだよ。」




「いや、ちょっと。……確か毎週月曜って言ってたよな」



「は?」



「いやもう、先輩帰ってください。俺もこれやっつけて行きたいところあるんで。お疲れ様でした。」





「今度絶対教えろよ!じゃあな。」






「一目惚れ……とかマジ俺誰だよ。」





細くて折れてしまいそうな手足と、気の強そうな言葉遣いと、儚そうな表情。短く整えられた指先と赤い唇。彼女が纏う空気が俺を刺激した。







早速例のバーに来てしまうくらいにはあの一瞬で俺は彼女に落ちたらしい。








初めてあった時からわかっていたはずだったのに、結局俺は実彩子を傷つけただけだった。




"違うって、否定しないんだね。"







俺たちは、繰り返す。