只今応答できません……。
んだそれ。
「たった今あんたが連絡を寄越したのに。なんで秒で電話かけて応答できないのよっ!」
どうしたって苛立ちが隠せない。
突然だった。
西島来月北海道戻るらしいな。お前大丈夫なの?
心臓が止まったかと思った。だって、聞いてない。北海道に行っちゃうなんて。私が帰ってももお隣にはいてくれないなんて。聞いてない。
西島くんは私の恋人じゃないの?
ほんとに北海道、行っちゃうの?
俺、実彩子の事が好きなんだ。俺と付き合ってください。
生まれて初めての告白は夢みたほどキラキラしてた。中学部の修学旅行、自由行動の帰りみんなの背を追って乗ったバスをひょいと伸びてきた腕に引っ張られ私の目の前でドアが閉まった。
中では何故か日高がドアをもう一度開けようとしてくれた運転手さんに出すように話してて。沙織としーちゃんがにっこにこの笑顔で手を振っていた。
「……へっ?」
「俺と付き合ってください。」
「…………えっと ////」
西島くんの顔が真剣で、決してふざけてない事がわかってしまったから。恥ずかしくて恥ずかしくて、俯いたまま。でも嬉しくて嬉しくて
「よ、よろしくっお願いしますっ……//」
YESと答えた。
中学受験をして、中高一貫の私立に合格した。市の中では2番目にいい学校で、家からの距離と駅からの距離でそこに決めた。
心配性のお母さんは日高と同じ所に受かったことをものすごく喜んでいた。昔からの習慣で今はもお何も思わないけれど、今時防犯ブザーを付けて登校しているのはきっと私ぐらいだろう。
私達の学校は中学3年間、高校2年間、それぞれクラスが同じで最後の1年間は普通、特進、英特、に分かれる仕組みになっていて、中学3年間を左右するクラスに西島くんはいた。
綺麗だけど少し子供っぽい顔とは裏腹にとても大人びた表情をする男の子で、私の中でなんとなく日高や他の男子とは違う存在になった。でも男子という生き物は未知の生命体で、気づいたら西島君と日高をセットでよく見かけるようになった。
私も私で気の合う友達ができて、沙織、しーちゃん、私。日高、秀太、西島君。この6人が決まったグループのようになった。末吉君はクラスにもう一人いて、流れで秀太と呼び捨てすることになり、日高は日高、西島君はみんなからはにっしーと呼ばれていた。
私はたまに見るあの表情と、にっしーという響きはあまりにも合わないような気がして一人西島君と呼び続けた。私たちのことは基本名字で読んでいたんだけど、貫地谷って長い。言いずらいってきっとあいつらは初めから思ってたことを5月位に言いだし、女子のあだ名決めウィークが設けられた。
でも結局、中村、宇野ちゃん、幹事。ってセンスのかけらもないそのまんまの名前を付けられた。ほぼほぼそのままでやはり男子の思考回路は謎なのだと3人でもりあがった。
体育祭、文化祭、合唱祭。コスパなのか面倒くさいのかそれぞれ3年に一度しか来ないおかげで一つへの執着はすさまじかった。
初めての体育祭、競技から帰って来るたんびに西島くんは呼び出しを受けてて。
西島くんはモテるらしかった。

