お姉ちゃんが亡くなる一年位前。その月の初めに一度おっきな発作を起こしてから体調が芳しくなくてお姉ちゃんの入院が決まった。





お姉ちゃんの入院はお母さんの入院と変わらない。毎日昼間に少し帰ってきてお姉ちゃんの服を洗濯して。机に千円札を置いて病院に戻る。





「ただいま……。」





私を迎える言葉なんて返ってこない事は分かりきってるのに、小さな手で力一杯ランドセルを握って玄関で待ってみたりして。





また机の上にそれを見つけるんだ。




保育園だった頃は迎えにはきてくれたのに。1年生になったせいでお母さんに全く会えなくなった。





その頃からだろうか、私に優しくて大好きだったはずのお姉ちゃんがだんだん嫌いになった。なんでお母さんは私の事をこんなにも見てくれないんんだろう。





「いつもお姉ちゃんばっかり……。」





大好きな姉への憧れが単純な羨ましいという気持ちに変わり、段々恨みになった。




でも、





「あれ、実彩子ちゃん久しぶりだね。美穂子ちゃんのとこ行かなくていいの?」




「学校あるから。」




「そっか、実彩子ちゃんもお1年生になったんだね。見ない間に大っきくなるわけだ。どう?お勉強難しい?」




「勉強は難しくないけどつまんない。」




「実彩子背は沢山伸びたよ!イチガッキから3センチ伸びたって書いてあった。でも新先生はちっさくなったの?」



「実彩子ちゃんが沢山大っきくなったから先生が前より大きくなくみえるんじゃないかな?これでも俺一応若先生だから縮んでたら悲しいなぁ。」




お姉ちゃんに会いたくなくて行かないようになった病院で新先生を見つけた。





新先生はお姉ちゃんの担当医だったのに私に優しくて、私をヴァイオリンと出会わせてくれた。




だから余計に、





「おねぇちゃんなんて

おねぇちゃんなんて大っ嫌い!死んじゃえばいいんだ!」






私の言った一言を許せない。


 


「新っ!大丈夫だって手術は成功したって!

そう言ってたじゃない!ねぇ!」





新先生を追い詰めたあの一言を忘れない。






「実彩子、ヴァイオリン本当に上手くなったね。きっと将来有名になるよ!!そしたら私すごい得してるよねっ。だって今私だけのために弾いてもらっちゃった♡」



「実彩子ちゃんもあまり身体は丈夫じゃないんだから無茶しちゃダメだぞ。ほら、美穂子ちゃんもそろそろ中に入ろう。」


「「はーーーーい。」」


「あれ、俺は悪者かい??」


「別にそんなこと言ってないよねー?実彩子?」


「ねーーー?」



私は自分が嫌いだ。