「ほんとに大丈夫?こっち帰ってくるの?私実彩子のためだったら結婚式ぐらいそっちでやるけど。」

「なに言ってんの。私は平気だよ。私がお祝いしに行くんだから私の心配なんてしないの。」


高3になってから転校して来た幸恵。

「ずっと気になってたんだけど宇野さんなんかあったの?」

腫れ物に触るみたいな私への扱いを気になってたらしくある日突然話しかけて来た。

「どうして?」

「いやべつに何があったかなんて聞かないよ?ただ私と似てる気がしたから。」

「そう…。」

「私があなたのお友達っての、どう?」

「ははっ…。川村さんって面白いね。いいよ?」

今考えると都会のナンパの方がもうちょっとマシかもしれない。でも私達にとってはお互いの冷めた感じがちょうどよくて。

2人でやっと人肌ぐらいで安心できた。

高校卒業と同時に地元は離れたけどゆきえとはずっと連絡を取り合ってた。

そんな幸恵が越してくる前の幼馴染と結婚する事になって、

私は8年ぶりに、帰って来ていた。


18歳の春以来の…この街に


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高校卒業式……



教室に入った時点で何故か泣いてる女子もいて、そこで初めてああ私もおここに通わなくていいんだ。って少し嬉しかった。

でもここはもしかしたらあの頃の私たちのすべてだから、明日には離れるこの街ごと胸の奥にしまい込むように大事に見つめた。


結局最後まで冷めた私たちは早々に教室での記念写真の波をかき分け、昇降口まで辿り着いた。

下駄箱のドアを開けた時見慣れない物が入ってた…


私が好きだった海の前で幸せそうに微笑む私。

その横顔からでも読み取れるぐらい、

幸せそうな……。

手先が器用な彼が作ったことのわかる貝殻でできた写真立てと中で微笑む私に挟まれるように1枚のメモがあった。


これ、やる。


「実彩子っ⁈どうしたのっ…?!」

後ろで叫ぶ幸恵の声がした。でも気づいたら私とは思えないほどの速さで風を切っていた。

びゅんびゅんなる風の音と共に頰が濡れていく。
雨は降ってない。

涙が止まらない…。

ねえ秀太、どうして私を置いていくの?

いつも秀太は突然で激しくて乱暴で、

でも誰よりも優しい…

ねぇ秀太、勝手にさよならを決めないで…

私まだありがとうも言えてない。

ねぇ秀太…逢いたいよ。

もしかしたらいるかもしれない。そう思って走って来た…

目の前には太陽の光を浴びて光る海、キラキラと輝く砂浜、写真の中の私と同じ場所。



でも私は泣いていた……


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「幸恵、おめでとう。すっごく綺麗…。」

「ありがとう。えっ⁈ちょっと泣かないでよ。てかなんであんたが泣くわけっ⁉︎もお、やだ…。私まで泣けてくるじゃない。」

「ごめんごめん。嬉しくって…。ちゃんと幸せにしてもらいなよ?」

「うんっ。実彩子も…これ。実彩子にあげる。次は実彩子の番だよ。そろそろ自分の心にぐらい…素直になりな。」

「私はずーっと実彩子の味方なんだから。忘れないで。」

「幸恵…これ。」

幸恵がくれたブーケの中に何処かの住所が書かれたメモが挟んであった。

「うちの旦那自動車売ってるの知ってるでしょ?知り合いに聞いたんだってスエヨシって名前の若い腕のいい整備士がいるって。車よりバイクが好きで休みは基本海にいるって…」

「もしかしたら…ってちょっと詳しく聞いたの。」

「……。」

「そしたら末吉秀太って名前だって。」

「同姓同名とかよくある話だよ。それに海とバイクが好きな人なんて沢山いるから。」

「海とバイクが好きで、この辺りに住んでて末吉秀太って名前の若い男の人なんてそんな簡単に何人もいないわよ」

「私は秀太さんと実彩子の間に何があったのか、実彩子に声をかけた時から聞かないことに決めてた。でも卒業式の日、いきなり飛びでして行った時の実彩子の顔は女の子の顔で、今まででみたどの実彩子よりも綺麗だった。」

「あんたがあんたらしくいられるのは、秀太さんの隣なんじゃないの?そろそろ私にも聞かせてよ実彩子の青春の話。私達もおアラサーになるんだから。」

「幸恵…ありがとうっ」

「ちゃんと報告入れてよー!」

そう言って手を振った幸恵はとても柔らかい笑顔で笑ってた。奥さんになった幸恵はいつの間にかずっと大人になってた。」

18歳で時間の止まった私に鍵を開けるチャンスをくれた…。

「お客さんどこまd「この住所までお願いします!」

タクシーに乗り込むなりメモをつきだす私に運転手さんは少し驚きながらもわかりました。って笑ってくれた。

車が止まるなりお釣りも受け取らずに車を飛び出した。


懐かしい波音…

鼻につく潮の香り…

胸が熱くなる…エンジンの音。


その背中に…抱きついた。



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「馬鹿っ…遅いから私が迎えに来ちゃったじゃない。」

「俺お前がいないと駄目みたい…。」

「気づくの遅すぎだバカ。」




「相変わらず……いい女だな。」