今回から新シリーズです。それも売ることを考えるという漠然としたタイトルです。具体的に何を売るかですが、それは様々なものです。とはいうものの、様々なものをカオスの状態で売ることを考えるのではなく、まずはアイドルにかかわるものを売る場合にどうすればよいのかを考えていこうと思います。まず、アイドル自身を売るにはどうすればよいのか、物品を売るにはどうすればよいのか。チケットを売るにはどうすればよいのか。私はチケットの売り上げとアイドル自身の認知度とは分けて考えております。認知度が高いからチケットが売れるわけではないのが芸能界であります。
ところで、これらのことを学問的に考えていこうとするのが私の狙いであります。実際の芸能界での商売のやり方は、アイドルをアイドルとして売る場合、テレビやラジオの番組枠を自主的に買い取り、制作会社に入ってもらい番組を制作し、それを放送します。また、二次使用にてネット配信などを行いながら世間様に存在を知ってもらい、ついでに公演のチケットを販売するというのが定番のやり方です。このやり方だといとも簡単に有名人になることが可能です。そこには私が以前に論じていたような「心の磁石」は必要なく、窮極的にはお金さえあれば有名になることは簡単な話であります。しかしそれは予算が十分に確保できる場合にのみ実行可能な方法でありまして、ほとんどの場合は低予算で見切り発車させますから、そこで戦略なり戦術が必要となるわけです。ちなみに、見切り発車でも売ることに成功し、現金を手にすることができれば自分で番組枠を買い、自分の番組を作り、自分自身をさらに売り込んでいくという好循環がうまれ、例えば、非常に長きにわたり芸能界で活躍している人などはこの手段で勝ち組に食い込むわけです。換言すると、芸能界で稼いだお金を芸能界のために使う構図となっており、総合商社が住宅を建設するときのお金の循環の仕方とよく似ております。ですから、芸能界で仕事を獲得するには芸能界に資金投下するしかなく、その投下する用の資金をどのように準備するかが成否を分けることになります。そして、最初の成功をもとに貯まった現金をプールすると仕事の量は減り、規模縮小となるのが芸能界であります。ただし、資金投下する量と人気の上昇が必ず相関するかといえば、例外もあり、事件や事故を起こすとお金とは関係なく仕事はなくなります。ここが難しい問題で、要は「金でものを言わせる」ことが不可能なところに芸能界の真の難しさがあり、お金は必要であるけれども、お金だけでは生き残れないのが芸能界であります。私が運営するニューイシューというバンドもそうなのですが、認知度が上がれば手数料収入(ニューイシューは国営バンドですから、売り上げという概念ではありません)が増えます。ところが、その収入をプールするということはどういうことかというと、ようは仕事をセーブすることになります。なぜなら、お金を貯めることは、逆に使わないことであるからです。簡単なことです。より大きく仕事をしようとするとき、入ってきた手数料収入をさらに使い、より大きな仕事をこなしていくというのが正解であり、そして認知度もさらに拡大するという構図です。
芸能界の裏話はここまでとして、では最初の一発目のブレイクをどのようにするかがものすごく重要となります。これもなぜかというと、基本的に日本人は知らない人の歌や踊りを見ることはありません。ところが有名になるとみてくれます。とすると、有名にならない限り見てもらえないという構図が完成するわけですが、これは実際に芸能界を経験したことある方には身に染みてお分かりだと思いま。、実際にこの現象は存在します。「有名=見たい!」、「無名=見ない!」です。世の中甘くはありません。このような常識が基本となる日本という国で芸能人として活躍するには相当な苦労が待ち受けております。でもやはり芸能界で活躍したいと思う方も多いでしょう。芸能界に入り込んだ初期段階では経営資源のヒト・モノ・カネ・情報、全てにおいて不足しております。では何を使うかですが、「頭」であります。頭は使っても減りません。しかも使えば使うほど状態は良くなります。ですから、まずは頭をフルに使うことを訓練してください。ところが、使用方法を間違うととんでもない失敗をするのもありますから、頭を使う基準というものをこのシリーズにて論じていこうとするのが狙いであります。
まず人は人気のない芸能人の芸を見ないか?について考えてみましょう。もし全世界の人がこのような状況だと芸能界は成り立ちません。ここでお分かりのように、人気がなくとも「素晴らしい芸」をすることにより振り向かせることができる地域があります。これが欧米諸国です。大道芸人が多いのもこの点にあります。ですから、芸を鍛えながらお金も入り、語学力もつきますから、欧米を旅しながら日本での活動資金をため、その資金で番組枠を買い取り、自分を売り込んでいくのも手段の一つです。しかしながら、その勇気がないという場合ですが、これは国内でどうにかしないといけません。しかし、「無名=見ない!」という土壌の我が国において、どのように最初の一歩を踏み込めばよいのか?が問題となります。これは一見すると難しい問題でありますが、理論的には存外簡単であります。ところがこの理論を実行させることができる「技術」が必要となり、これをいかにして習得するかがカギとなります。そしてこの方向へ話が向かうと、私のこれまでやってきた心理学の話を活かすことが可能となります。
本日はこれにて筆を置きます。続きをお楽しみ。ご高覧、ありがとうございました。