心の磁力の活用(具体策 27 コンプレックス再考 9) | 芸能の世界とマネジメント

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心の磁石と題して論じておりますが、簡単に言うと、磁石のプラスとマイナスがひっつくようにすれば人が集まるのではないかという仮説を説明するために長々と論じております。ところが、人の心は非常に複雑な構造をしておりまして、そう簡単にプラスとマイナスの関係にならないのが常です。例えば、企業にお勤めの方なら担当部署内の人と心から信頼できる人はどれくらいいるかというと、ほとんどいないのではないでしょうか。しかしながら、これを克服していくことに生きていく価値があるように思えます。また、芸能人に至っては見知らぬ第三者を味方につけていく技術が必要となり、これが芸能人生を大きく左右するものと思われます。ではなぜこれほど人間関係が難しいのかというと、個人の心の構造がそもそも複雑であり、その複雑な心が主体の周りに集まることにより、さらに事は複雑になります。ではどうするればこれを克服できるかというと、コンプレックスを知ることだと思います。コンプレックスとは複雑な様相を表現する単語ですが、ユング心理学でもその意味で使用します。複雑な様そのものを意味し、これを一つ一つ整理し、統合化することをコンプレックスの克服といいますが、この方法をこれから見ていこうと思います。

 

例えば、内向型のAさんと外向型のBさんが一緒に仕事を行おうとします。内向型と外向型は対照的な性格なので一緒に仕事するには不向きです。なぜなら、意見が合わないからです。しかしながら、一緒に仕事を行わなければなりません。どうでしょう、複雑ですね。AさんとBさんとが出会った時点で一つの組織が出来上がっておりますが、この組織は仕事がはかどらない組織であり、この組織に名前をつけるのであれば、「性格対照コンプレックス」となるでしょう。Aさんから見れば外向型コンプレックスの組織、Bさんからすると内向型コンプレックスの組織となり、主体の立場によりコンプレックスに違いがでており、これがより一層強いコンプレックスを形成します。頭の痛い話ですね。

 

組織であれば組織の枠内でことは済むとはいえ、かなり複雑なことになりますが、まだ限定的であるといえます。しかし、芸能人となると話はさらに拡大し、見知らぬ客体と接していかねばなりません。例えば、アイドルなどは物販の時にファンと直接対話しますから、そこでこのコンプレックスはより複雑なものとなります。例えば、あるアイドルの態度が外向的で、そのファンの態度も外向的であったとしても、機能面で違う場合が多々あります。外向的感情型のアイドルと外向的直感型のファンが出会ったとき、これも対応が難しくなります。このように、芸能人は無限大のコンプレックスの中で生きていくことを余儀なくされる職種ですから、非常に神経を使う仕事であり、また、人間の心理状態を瞬時にして把握しないといけません。また、ここが重要なのですが、客体の心を理解するだけでは不十分でありまして、主体の心も十分に理解できていないと相手の心の状態などわかるはずもなく、したがって、自分の心の状態をどれほどまで理解できるかが重要になってきます。

 

コンプレックスの克服には自分を知ること、そして相手を理解することの両方を行っていかねばなりません。この方法を次回より解説していこうと思います。ご高覧、ありがとうございました。