心の磁力の活用(具体策 19 コンプレックス再考) | 芸能の世界とマネジメント

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このシリーズも19回目となりました。私の実学道のブログがようやくコンプレックスを抜け出しまして、少し議論の幅に広がりが出てきましたので、こちらのブログもそれに合わせて幅を広げていこうと思います。いきなり専門的な話をしても共感を呼ばないと思いますので、少し基礎的な話から行っていこうと考えております。このブログでは既にペルソナを使った芸能人の売り出し方について詳細に書き綴った覚えがあります。しかしながら、コンプレックスとの関連をわざと空白にして現在に至っております。わざと空白にしておいたのは実学道のブログと歩調を合わせるためでありまして、ようやく応用編にまで時間を割くことができそうな気配となりましたので、コンプレックスとの関連における集合的無意識を意識しての戦略を考えていこうかと思います。また、経営学的にはゲイリーの論文を使用し、学術的な議論を既にこのブログにて行っておりますので、過去の記事を掘り起こしていただき、参照していただければ幸いです。私がリンクを張ればいいのですけど、ブログの記事は読み捨てるものだという思いがありますので、削除はしませんが、上位記事にする予定は今後もありません。ご了承ください。

 

まずこのシリーズは心の磁石と表現しているように、客体が主体に引き寄せられる原理を詳細に述べていこうとするものであります。また、芸能人として「売れる」という現象は上述の現象をさし、主体が客体に飛び込んでいく現象ではないことをこれまで何度も指摘してきました。原理的には元型というものが投影という作用を通じ、意識化されるプロセスがありまして、それ故にこのような現象となるわけです。逆に、主体は個人なわけですから、大勢の聴衆者の一人一人を吟味し、元型を投影させることは現実的に不可能であり、そのような理由から、客体にすべてを託す戦術に打って出ることが重要であるとの見解を示しているのであります。これまではここまでの話を行ってきました。その時は集合的無意識における元型を利用すべしとの結論を下していたと思いますが、ここに客体の個人の好みが入ってきます。この点についても併せて議論したと思いますが、では、その好みなるものはどこからどのようにして現れるのであろうか?また、いわゆるコンプレックスの問題として捉える場合、主体の生活基盤が大きくかかわるはずであり、そこに「地域性」なるものが存在するのではないか?さらには、それらがミックスされた場合、すなわち、元型とコンプレックスが結びついた場合の効果は?など、このブログにおいてはこれら三点について議論をしていく予定です。

 

ここまでで気づいた方も多いかと思いますが、ようは、深層心理学において元型は確かに大切な概念でありますが、元型だけで深層心理学の全てを語ることは不可能であります。元型で語れることは元型のことのみです。しかしながら、心とは三層構造をなしており、それらすべてを統合して初めて心でありますから、その意味で、元型と共にコンプレックスのことを詳しく知ることは非常に重要なことであります。そしてそのコンプレックスがどのようにして生成されるのか、また、その生成されたものに元型のようなパターンはないのか、つまり、類型化できないのかについても知っておく必要があり、ここに心の磁石の難しさがでてきますが、一度理解できると面白いほどに人に好まれるようになります。いわゆるスターというのはこの手法を心得た人々のことでありまして、そこから学ぶことも大切ですが、それ以上に、実行していくことの方がより大切なことになりますので、このブログを読んである程度の知識を得たのであれば、あとは実行へ移していただくことを願うばかりであります。

 

ところで、ずいぶん前にこのブログにてペルソナとの関連においてマトリックスを使い、ベンチマークをしていくことを進めるように書いたような記憶がありますが、その時はまだ基礎分野が進んでいなかったこともあり、自分の好みの、既に売れている芸能人をベンチマークするように書いたのですが、それよりももっと効果的なのは、相手のコンプレックスを刺激するコンプレックスを主体が認知することの方がより効果的であるという結論に至ります。これは説明するまでもないでしょうけど、元型とコンプレックスとの関連で概要をお伝えいたしますと、まず、客体のアニマかアニムスを主体が刺激することから事が始まるのですが、しかし、ここで客体の好みが出てきて、ふるいにかけられます。ようするに、見た目がいいだけでは売れないという根拠がここにあります。そこで相手の好みを探ることになるのですが、ここにおいてマーケティングの概念である「ニーズ」を頼りにしますと、逆にニーズはとらえにくくなり、ぼやけてしまいます。ニーズというのは個人的なことであり、個人によって違いがあるがゆえに、ニーズに特徴が出てくるというのは論理的につじつまが合わないのです。ニーズというものはユング心理学でいうところの自我とコンプレックスに該当する部分の総体でありますあら、個人的な考えの窮極的な有様です。しかもコンプレックスは不可視であり、自分では気づけないわけですから、調査対象となる人物はその個人的な考え自体、ごく一部しか気づいていないわけですから、そこから出てくる数値の変動というものは、ニーズのごく一部が表現されている、いわゆる、自我の部分に該当する部分が数値として現れているだけでありまして、その数値を信用すると、ごく一部のファンしか獲得することしかできません。では、より多くのファンを囲い込むにはどうすればよいのかというと、やはり布置を見分けることにより、相手の自我とコンプレックスを見抜いていくことが必要となるのです。

 

例えば、地方の個性化の議論にしましても、コンプレックスのみを分析のツールとするのでは物事の一部しか見ることができず、その地方の元型は何か、また、コンプレックスがどのようになっているのか、そのコンプレックスを見ることにより、リアルタイムでのものの見方、つまり、地方の自我について、それこそ集合的に見ていく必要があるように思いますし、実際に私はそのようにして地方を観察しております。

 

次回からはより詳細に前述の三点について吟味していこうと思います。ご高覧、ありがとうございました。