心の磁力の活用(具体策 7 差別化と投影の関係) | 芸能の世界とマネジメント

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芸能界、芸能人のために論じます。

毎回ですが、こちらのブログも更新の間隔が長くなってきており、申し訳ございません。最近は憲法や皇室典範に関する研究にまで範囲が拡大しておりまして、自分の専門分野になかなか手が出ない状況となっております。

さて、基礎理論を構築していく「実学道」のブログにおきまして、先日よりペルソナの話は完結しましたが、まだ深層心理の部分が終わっておりませんし、その深層心理と意識との統合における個性化、ないし自己実現に関しての議論にまで到達するには相当な時間を要しますから、こちらの応用編のブログにおいては、ペルソナをどのように活かしていけばよいのかについてを吟味していこうと思います。

経営学の分野でも芸能の世界でも世間から高く評価されているものを「真似る」ことは大切なことだとよく議論されております。しかしながら、残念なのが、そのことについて経験的ではあるものの、論理的でないところが説得力に欠け、信憑性という部分において残念な結果となるのですが、これまた逆に、極度に真似をするのではなく、部分的にでも真似をするとなんだかうまくいくということは実際に確認されており、私自身も20代の頃は「真似をすることは自分を伸ばすことだ」と体験的に思っておりまして、しかしながら、論理的に理解できないことへのいら立ちもあり、真似した結果、失敗したことも多く、その意味で「成功につながる真似とは何だ?」が大学院における研究の基礎でありました。そこで出会ったのが深層心理学なのですが、これも運命の出会いですね、当時の私の指導教授が別の先生であったならば、今の私はなかったでしょうし、まさかその教授が深層心理学での学際研究を密かに実行していたことは知りませんでしたから、人生というのは分からないようで、思いはどこかで受信されているものと考えてもいいかもしれません。

話を戻しまして、真似をすることの意義についての理論的な説明はこれまでの私の論文を全て読んでいただければお分かりになると思いますから、ここで復習はしませんが、大事なことは、投影する側の個人的無意識というものが作用し、①真似のパターンができること、②そしてそれは細分化され、類型化が可能となること、③多くの類型化された型は既に人気のある型であることが分かっているが、それゆえ、多くの型を一つの組織に詰め込むと、スケールメリットが発生する。という、三つの効果を期待できるということです。とりわけ三番目は、稼ぎ柱が一本よりも二本、二本よりも三本あった方がメリットは大きくなるという考え方です。これが可能となるのは、投影という作用があるかであり、これがアイドル界における「推し」というものにつながり、ファンは推し以外に誰も見ないという現象が実際に起きておりまして、ユング派の深層心理学の理論を理論の通りに反映しているのが、アイドル界で現実に起こっている現象であります。

ただし、アイドルの総選挙などでもお分かりの通り、現状では投影がある一点に集中する傾向にあります。これでは組織化する意味が薄れてきますし、組織の崩壊を招く大きな要因となります。これを防ぐには、勘に頼ったペルソナを作り上げるのではなく、私が考案したマトリクス法を使用し、客観性を高める必要があります。統計学的にいえば、大人数になればなるほど、見かけ的にも平均的な人物が多くなり、投影する側も多くなればなるほど見かけに関しては平均的な人物に投影を向けることが多くなるというのが一般的です。勘に頼るとどうしてもこのような正規分布に近いファンの分布となってしまうのですが、これの分布を人間の無意識の力をかりて均等化する、仮に「アイドル分布」を生み出してみてはどうかというものです。完全に均等化することは無理でしょうけど、ある程度の均等化はするものと予測できます。頑張れば頑張るほど個人的な差はあまり出てこないとしても、組織に関する貢献度からすればほとんどすべての人物が順位で表すと1位となり、これはモチベーションとしてもかなりのものとなるかと思います。さらに、仮に2位になった人は、相当頑張らないといけないということにもなり、自分のポジションを把握しやすくなると思います。これが例えば、グループ内順位の150番目とかになってくると、今後の頑張りようを見つけることが困難となるし、周りの人もアドバイスをやりずらくなるかと思います。

投票というとやはりいろいろと熟考し、投票すると、そこにはある一点に集中するという傾向がみられます。そこをうまく利用してるのが国会議員の選挙ですが、これはやはり、いろんなことにおいてバランスがとれている人に票が多く投じられるという意味では理に適っているものと思われます。後に事件や事故を起こす議員さんもいらっしゃいますが、票を多く獲得した人が勝利するのは理解しやすいです。他方、芸能界、とりわけアイドルグループなどでは個々人のバランスをとることが非常に重要であり、グループ内の構成員の一人一人はある意味で「平均的」な人物であるかもしれませんが、グループ全体としては強力な威力を放ち、それが組織としての大きな原動力となってくれれば今の芸能界は見ている側も演じる側も楽しくなるのではなかろうかと思います。

もっとも、政治の世界にも適応できるかもしれません。但し、これは政党に加盟している人や政党そのものに対して強い影響力を持つものと思われますので、無所属の方へはまた別の方法でアプローチしないといけません。

差別化の話からアイドルの話、そして政治の話にまで発展しましたが、ご理解いただけましたでしょうか。本来は時間と距離との関連で差別化について話をする予定だったのですが、その前に差別化の表層的な意味を少しだけ深くした話を展開した方が時間と距離についての理解が得られやすいかと思い、このようにしました。

ご高覧、ありがとうございました。次回をお楽しみに。