高校生偏⑫

 

昨年度、近畿大会の2回戦で惨敗した記憶が、

ずっと胸に残っていました。

 

だからこそ、今年の大会には「絶対に負けられない」

という強い思いで臨みました。

 

しかも開催地は和歌山県でしたので、

仲間たちと「必ず優勝しよう」と誓い合い、

覚悟を持って挑みました。

 

他府県からは有力なチームが数多く参加していましたが、

私たちの視線はただ一つ、優勝だけを見据えていました。

 

そんな私たちは1回戦からエンジン全開で戦いました。

大阪府のチームには攻守で圧倒することができ、

4-0で快勝しました。

 

「これならいける」…チーム内に

確かな手応えが生まれました。

 

2回戦もその勢いのまま、

奈良県のチームに2-0で勝利。

 

準々決勝へと駒を進め、

次なる相手は滋賀県のチーム。

 

私たちは変わらず、

気持ちを前面に押し出してプレーしました。

 

幸先よく先制点を奪うことができたので、

落ち着いて試合を運びながら、

追加点を狙って攻め続けました。

 

しかし、得点にはつながらず…

 

前半終盤あたりに一瞬の隙を突かれて、

同点に追いつかれました。

 

それでも「まだいける」と信じて、

攻防を繰り返しました。

 

後半も多くのチャンスを作りましたが、ゴールには届かず。

後半も終盤に差し掛かろうとしたその時…

相手の鋭いカウンターから痛い失点をしてしまい、

逆転を許しました。

「こんなはずじゃない」

焦りがチーム全体に広がり、

プレーが噛み合わなくなっていきました。

 

懸命に同点を目指しましたが、

最後まで得点は奪えず…

試合終了のホイッスルが鳴り響きました。

 

 

 

優勝という目標は、ここで途絶えました。

試合後、ただ茫然と立ち尽くしていました。

 

3年生になってから公式戦でも練習試合でも

一度も負けていなかった私たちにとって、

これは大きな落とし穴でした。

 

でも、順調だったからこそ、

この敗北が必要だったのかもしれません。

 

悔しさは、次への糧になる。

そう言い聞かせていました。

この痛みを胸に、私たちはインターハイへと向かいました。

 

高校生偏⑬につづく

 

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