入団偏
⚽「このままでは、友達ができないかもしれない」
いじめられていた幼い私を見て、
母はそう感じていたそうです。
何かに夢中になれる場所を探していた母が、
ある日ふと思いつきました。
「サッカーは足でプレーするスポーツ。
手がないあなたでも、きっとできるはず」
その言葉に背中を押され、
私は5歳でサッカークラブに入団することになりました。
きっかけは、近所に住む幼なじみが
クラブチームに入ることになったことでした。
「一緒なら、なんとかなるかもしれない」
そんな気持ちで、私は新しい世界へと足を踏み入れました。
けれど、後に恩師から聞いた話があります。
実は、最初は私の受け入れを断っていたそうです。
障がいのある子どもを指導した経験がなく、
どう教えればいいのかも分からない。
その戸惑いは、今では自然なことだと理解できます。
それでも母は、何度も、何度も足を運びました。
「この子にサッカーをやらせてあげてください」
母の願いは、やがて恩師の心を動かし、
私の受け入れが決まりました。
✨不安と希望を抱えて、グラウンドへ
私が通っていた小学校にはサッカーチームがなく、
少し離れた小学校のチームに入ることになりました。
知らない人たちばかりの中で、
右手のことでまたいじめられるのではないか。
仲良くしてもらえるのだろうか。
そんな不安を抱えながら、毎週土曜日と日曜日、
自転車に乗ってグラウンドへ向かいました。
練習場には年上のお兄さんたちが多く、
最初はなかなか馴染めませんでした。
でも、驚いたことに、
そこにはいじめなど一切ありませんでした。
誰も私の右手のことには触れず、
自然に、優しく接してくれたのです。
その空気が、私の心を少しずつほどいてくれました。
「ここなら、いてもいい」
そう思える場所に出会えたことは、
私の人生の大きな転機でした。
🌈受け入れられることの力
母の願いと、恩師の決断。
そして、チームメイトの自然な優しさ。
それらが重なり合って、
私は初めて「受け入れられる」
という感覚を知りました。
それは、単なるスポーツの始まりではなく、
私の自己肯定感の芽生えでもありました。
サッカーは、私にとって「できるかどうか」ではなく、
「誰かとつながれるかどうか」
を教えてくれた場所だったのです。
✍️読者の方へ
あなたが初めて「受け入れられた」と感じた瞬間は、どんな場面でしたか?
誰かの願いや、見えない優しさが、あなたの背中を押してくれたことはありますか?
私の物語が、あなた自身の記憶をそっと照らすきっかけになれば嬉しいです。
小学校偏に続く…
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