いつもわたしを受け入れてくれた
いつもたくさんの話をしてくれた
このまま付き合ったりしなくてもよかった
会って言葉を交わし、同じ時間を過ごすだけで満足だったから。
わたしはうぬぼれ屋だから、彼が離れて行くことはないだろうという安心感もあった
昔のわたしはまっ逆さまに落ちていくような激しい恋愛が好きだった
ヒリヒリする焦燥感を楽しんでいた
そんな疲弊する恋愛はもうこりごりで
彼との間には駆け引きや激しい熱情が一切なく、ただ穏やかな時間と安心感だけがあった
こんな時間がずっと続くと思っていた
絶縁の必要性を説かれたとき、即決はできなかった
言葉では『はい』と答えられたとしても嘘になるから
疎遠な人ならあるいは即決できたかもしれない
だけどTERRAちゃんを除いて、彼はわたしの生活において一番必要な人だった
ちょうど3日後に彼と会う約束をしていた
そんな話をしたら、あの優しい人が怒るだろうか?あきれるだろうか?そんな表情をみるのも怖かった
どっちみち終わらせるのにそんなことばかり考えた
話をするだけなら少しの時間で足りるのに、わたしは遠出を提案した
今日が最後の思い出になるから
会って最初に話せば、道中ずっとその話ができて、彼が歩み寄ってくれるかもしれない
いや、あきれて引き返そうと言われるかな
運転中より、ちゃんと顔をみて話したいな
切り出せないまま、わたしは1日を彼と愛犬と楽しく過ごした。
『今度ここ行こう』『それはまた次回やな』
当然今度があるものと、その日も彼はわたしと愛犬と一緒に過ごす未来の話をたくさんした。
今までみたいにたくさんの『今度』を迎えたかった
高原のテラスでランチして
愛犬と一緒に走ってくれた
温泉街で足湯をして
庭園の近くを散歩した
海の見える街でお寿司を食べた
彼はわたしと愛犬にいつだって優しい
目をみて話したかったのに、結局、話を切り出せたのは帰りの運転中になってしまった。
言葉に詰まりながら話す内容を
全部、受け入れてくれた
自分から言い出したことなのに、
一緒に行きたいところ
一緒に食べたいもの
教えたいこと、見せたい景色
まだまだたくさんあった
自分の信念を押し通すだけのわたしに、彼が両親ご先祖に背くような、わたしにとって都合のいい歩み寄りをしてくれる訳はなく
わたしのためになるなら、むしろ喜んで離れると言ってくれた
二人とも泣いていた
初めて握った手はすごく大きかった
家に帰ったらメッセージが届いていた
『(絶縁の原因を)ほんまに無理になって続けられなくなったら、友達に戻ろうな!しまいには家族になってもいいな!元気で、幸せに』
わたしももし誰かと結婚するなら、彼がよかった
ありがとう
だいすき
さよなら